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プライドvsプライド -2
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「…で?どうやるの?」
「…えっと、まずえっと…」
見栄を張った自分を殴りたかった。
目の前の文字を必死で読み解こうとするが、
本当に基礎の部分しかわからない。
「相手の速度から自分の速度を引くんだよ」
「いやそれぐらい分かるから」
必死の俺の答弁も間髪入れずに発せられた
相手の低い声で水の泡となった。
「えっと、それでえっと……」.
なんとか問題を解くため、時間稼ぎに
場を繋ごうと必死に口を動かす。
それでも分からない、この状況が苦しい。
同時に理解できない自分が悔しかった。
もう、泣きそう。
その時、突然左肩に手の感触を感じたかと思えば
相手が身体をこちらに寄せて顔を寄せてきた。
え、何これ。
そして達は色気のある、余裕そうな表情で
「見栄張んなよバカ」
と軽く笑ってきた。
俺の中でなんとも言えない感情が渦巻く。
腹も立ったが、異常に胸騒ぎがする。
そして近くで見たその顔は、やはりかっこいい。
「お前が理系科目出来ないことぐらい
知ってるから」
「べ、別に出来ねーわけじゃねーから!」
「何、お前もしかしてツンデレなの?」
「お前いい加減ぶん殴るぞ」
こんなに馬鹿にされているのに目の前の達に
胸を高鳴らせている自分が悔しい。
でも寄せられたその身体からはあの頃と同じ
達の匂いがして、抱きしめたいとさえ思った。
「何、教えて欲しいなら言えば?」
挑戦的な目線で俺を見てくる。
本当は昔のように甘えてしまえれば
一番楽なはずだった。でも俺のプライドが
それを許さない。
「はっ、余計なお世話。
俺お前より頭良いし」
思ってもいないことを無理矢理口にして
相手を挑発した。
「……言ったな?」
達の瞳がギラリと光った気がした。
「おう、お前には負けねぇな」
「あっそ…言ってくれんじゃん。
じゃあ次のテスト俺と勝負な。
負けた方が何でも言うこと聞く。いいな?」
不機嫌そうにそう言えば達は窓の方を向いた。
得意げな俺だったが内心は冷や汗が止まらない。
達とテストで勝負とか、ハードルが高すぎる。
いつも僅差ではあるがどうしても達の点数を
超えることはできない。
はぁ、どうなっちゃうの俺。
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