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聞きたいこと -2
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「えぇ、今日の授業では、えぇ
50m走の、えぇ、タイムを、えぇ、
測りますので、えぇ、頑張って、
えぇ、走ってくださいね」
時計の短針も頂点に近づく4時間目、
今日は50m走の計測だ。
話すとやたらと"えぇ"が多いことから
えーちゃんと呼ばれている年配の
体育教師は、申し訳ないが明らかに
その様子から生徒に舐められている。
実際準備体操ちゃんとやってなくても
何も言ってこないから仕方ない。
俺は今日の体育が50mと朝一に知って、
3時間目までずっと頭の中で
イメージトレーニングをしていた。
それは何故かと言えば、50mだけは
誰にも負ける訳にいかないからだ。
達に唯一勝てるものー。
部活でサッカーをしていたから
サッカーも多分、達よりできるように
なったとは思うが、それを除けば、昔から
達に勝てるのは走ることだけだった。
まあそれも、大した差では無かったけど。
勉強も、他のスポーツも、
いつも達に追いつくのに必死だった。
そんな中で唯一楽しめるもの、
余裕を持って戦えるのが走ることなんだ。
だから、そのたった一つの取り柄だけは
どうしても失うわけにいかない。
それが俺が俺である意味のような
気さえするからだ。
「えぇ、では、えぇ、出席番号の、
えぇ、2列で、えぇ、並びましょう」
達は男子の中で一番最初の組だ。
先に目標が出来る方が走りやすいから、
俺にとっては好都合だ。
「えぇ、いちについて、えぇ、」
達はクラウチングの姿勢をとる。
しっかり引き締まった尻が此方を向く。
すげぇエロい…。ぶっ挿してぇ、、、
って何を考えてんだ俺は!
「えぇ、…どん!」
よーいどんの時ぐらいえぇを
止められないだろうか。
達の背中が一気に遠ざかっていく。
一緒に走っている子との間には、
瞬く間に大きな差ができた。
なんだかその離れていく背中が
俺達の心を表してるみたいで、
少し胸が締め付けられる気がする。
ゴールにある大きなタイマーが
示した時間は…?
5.98秒
…速い。俺が今まで見た達のタイムで
明らかに一番速い。少し不安か過ぎる。
でも大丈夫、俺ならもう少し早く走れる。
1組、また1組と走り終えていく。
その度に俺の心臓は鼓動を早めた。
いつもは走る前に緊張なんてしないのに。
「次の人ー、えぇ、いちについて」
そして、俺の番になった。
始めの構え方が大事だ。
ここで勝負が大きく決まる。
俺は慎重に両手をつき、
スタート姿勢をとった。
あとは集中するだけだ。
風が揺らす砂の音が
耳にはっきり聞こえる。
「よーい…えぇ」
心臓の鼓動が聞こえる。
「どん」
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