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聞きたいこと -12
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「はぁぁ楽しかったー!!!」
絵理夏のリクエストによって、
3枚のチケット全てを絶叫マシンに使った
俺たちは、そのあと待ち時間の少なかった
アトラクションにいくつか乗って、
7時ごろにファンプラを出た。
俺は楽しいと同時に少しだけ複雑な気持ちを
抱えていた。
最初に乗ったアトラクションは3年前に
出来たものだ。しかしそのあとの2つは
俺が小さい時からあって、思い出がある。
達との、思い出が。
まだチビの時、俺は絶叫マシンが
苦手だった。でも達が乗れるから
俺も克服しなきゃって思ってた。
それは友達として一緒に楽しめるように
なりたいってのが表向きの理由で、
勿論その気持ちもあったにはあったが
一番はやはり、達に出来て俺に出来ないことは
全て無くしたかったからだ。
俺はいつも達の腕にしがみつきながら、
涙をこらえて必死に乗っていた。
今思えばすごい根性だったと思う。
達と今みたいな距離になってから、
別の友人たちと遊園地に行くようになった。
俺は必然的に自分の力だけで得意なフリを
貫き通さないといけない。達の腕に頼らずに。
それに昔のジェットコースターは
2人で1つの安全バーとかが多かったけど、
最近のは1人1人、椅子ごと分かれてて
隣の奴に縋ろうにも縋れない。
そんな状況になって俺は気づいた。
正直、全く怖くなかったんだ。
絶叫マシンへの恐怖は、
途中から達に触れるための理由に
変化していたんだと、気づいた。
あの頃は年齢的にも、心理的にも
簡単に達に触れることができた。
しかし今はどうだろう。
昔よりずっと、達に触りたいという
汚い欲求が身体中でうずうずしているのに、
それを叶えることは絶対にできない。
どうせ嫌われてるんだったら
無理矢理犯してもっと嫌われて、
スッキリしてしまおうか、と考えることもある。
でもそんな方法で心が満たされるとは
とても思えなかった。
「城野くん、どうしたの?ぼーっとして」
身長の低い鈴原が下から俺の顔を覗く。
そうだ。俺は男なんだから、
こんな子を触れば良いんだ。
そう思って不意に手が出る。
「ん、なんでもねーよ。ちょっと考え事」
微笑みながら相手の頭に手を置き、
すぐに離した。
違う。これじゃない。
心が叫ぶ。耳が痛いほどに。
いや、痛いのは、別のところかもしれない。
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