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聞きたいこと -23
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《達騎》
「…お前、俺に聞いたよな。どうしてお前のこと
避けるようになったのかって」
学校で2回ほど聞き、その度取り消した質問。
こんなこと、勝手な個人の感情を理由に
駆を遠ざけた俺が聞いていいものではないと、
痛いほどに分かっていた。
それでも俺は知りたかった。
俺が離れて行くことを拒まなかった理由を。
自分から離れておいて最低だなんて分かってる。
感情を隠し通すために距離を置いたんだから、
ただ目的通りになっただけだ、ということも。
それでも俺は、どこかで駆が俺を求めて、
"どうしたんだ'.と。"寂しい"と。
そう言ってくれるのを待ってたんだと思う。
「…それは
「逆にお前に聞きたい」
先に続く言葉も思いつかないまま放った声は、
すぐ駆にかき消された。
駆は俺をまっすぐに見つめる。
こんなしっかりと目を合わせたのは、
本当に親友だった頃以来で、
全身を駆け巡る、喜びや懐かしさ、恥ずかしさ、
色々な感情で押し潰される。
「どうして俺の前からいなくなったんだ」
激しい自己嫌悪に襲われた。
俺は勝手だ。馬鹿だ。
駆のためと言って隠した、禁断の感情。
それを永遠に閉じ込めておくことが、
駆にとっての幸せになると、そう信じていた。
でも、俺も駆も幸せになっちゃいない。
そして、俺は気づいていた。
もう秘密にすることは出来ない。
今にも外れそうな蓋を必死に抑えたまま
1年間も過ごすなんてできるわけがない。
どうせ衝動的に全てを吐き出してしまう時が、
来るのなら、それならいっそのこと、
自分でそのタイミングを決めておいて、
それまでしっかり覚悟をしておきたい。
最初からそうするべきだった。
「悪ィ、今それを教えるわけにはいかねえんだ」
しかし、まだ実行するには早すぎる。
今全てが終わってしまったとしたら
残される日数を考えれば、あまりにも恐ろしい。
まだ、長すぎる。
「でも…2年の間に必ずお前に教える。
だから、その時まで待っててくれ」
恐らく理系文系でクラスが離れるだろう。
その時には、本当に何もなかったかのようにするから、
それまでもう少し我慢してくれ。
今までの、
君との、
綺麗な思い出たちも、
すべて。
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