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ピンポーン
インターホンの音で目がさめる。
ピンポーンピンポーンピンポーン
「うるさい」
誰だ?セールスか?
目をこすりながら階段を降り、ドアを開く。
「一夜さ」バタン!
勢いよく閉めて、ドアにもたれる。
虎汰郎とは思っていなくて、予想外のことに目がさめる。
「一夜さん?」
声がドア越しに聞こえる。
「何か俺しましたか?」
悲しげな声が聞こえる。それも嘘なんだろ。
「嘘つきが」
「え?」
「帰れ!!」
初めて虎汰郎に怒鳴った。
「いち「帰れってば!!」
沈黙が続いた後、虎汰郎の足音が聞こえ、ゆっくりとした足取りで遠くなって行く。
だめ。
行くな。
自分から引き止めておいたくせに心の中では、正反対のことを叫んでいる。
いま引き止めるようなことをすれば、俺が戻れなくなる。これでいいんだよ。
数分経った後、ドアを開けてみる。
「あ…」
紙袋が置いてあった。
中には手作りのマフィン。
好きじゃないやつに手作りなんてするんじゃねぇよ。勘違いするから。
このマフィンを食べることも捨てることもできない。
結局冷蔵庫にしまった。
この気持ちをしまうように奥深くに。
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