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さっき熊谷から存在を聞いたばかりの兄に会えるとは思ってもいなかった。
取り敢えず立って、同じ目線で話す。
「で?君はここで何しているの?」
「えっと、ここで、虎汰郎を、待ってます…」
虎汰郎の兄だからかやけに緊張してしまう。
「あ、そう。待ってても多分来ないよ。」
虎汰郎の兄は意外にも冷たかった。
「そう、ですか。」
「でさ、君、虎の何?」
「何って…」
俺たちの関係って?
恋人は絶対に違うし、友達でもない。
先輩後輩と言われてもしっくり来ない。
「即答できないんだ。そんな大した関係ではない、それか言えない関係か。」
その言葉に何も言い返せない。
「ならさ、虎ともう会わないでくれる?君、明らかに不良だよね。はっきり言って迷惑だから。」
迷惑。
そうだよな。
俺、虎汰郎のこと何も考えていなかった。
俺なんかといたらさ、いいことなんてないし。むしろ迷惑。
「すみません。…帰ります」
自分の口から出た声はあまりにも消えそうだった。
虎汰郎のことは諦めるしかないんだ。
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