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虎汰郎side
お昼。
「虎汰郎ー、売店行く?」
「いや、いい!」
四限が終了して、屋上へ向かう。
多分、お昼ならそこにいるはずだ。
そーっと屋上のドアを開き、
人影が見えたことに安心する。
一旦心を落ち着かせ、もう一度ドアに手をかけて押す。
一夜さんがこちらを向く。
「こたろう…」
一夜さんの顔は悲しそうだった。
「一夜さん…」
一歩踏み出すが一夜さんは一歩後ずさる。
「来るな!!」
俺に浴びせられた二度目の叫び。
「迷惑なんだよ、こっちは!」
迷惑。
そうじゃないかと思ってた。
いきなり土足で心の中を踏み込んできて迷惑かけていることは分かってた。
でもそれを一夜さんの口から言われるとかなりのショックを受ける。
でも、一夜さんはさらに俺よりも悲しそうな表情だった。
「一夜さ…」
俺がまた声をかけようとすると顔を伏せる。
そのまま俺の隣を通り過ぎて屋上から出て行ってしまった。
屋上で一人になった俺。
『迷惑かけてごめん』
確かに通り過ぎる時にそう聞こえたが振り返った時にはもういなかった。
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