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虎汰郎に抱きしめられる。
かおが見られないことをいいことに、
虎汰郎の肩に顔を伏せ、我慢していた涙を流す。
そこに虎汰郎が優しく頭を撫でてくれる。
心が落ち着いて来て、
さっき言われた言葉を脳内で再生して、
意味を理解させる。
俺が好き?
嘘、
じゃなかったのか?
「こたろ…。俺、の…こと…」
「好きですよ。」
嗚咽を隠しながらゆっくりと発した言葉に虎汰郎は迷わず答える。
「でも……」
「大好きです!!」
初めて聞いたほどの大きな声。
抱きしめられるから表情が分からない。
間を置いた後、虎汰郎は一気に捲し立てる。
「嘘、ついてたんです、俺が。
あの時、咄嗟に言ってしまって。
後でもう一度話をしようと思ってたけど言い出せなかったんで、それで、一夜さんが誤解して、俺、ずっと好きだった!
罰ゲームだったけど、最初から一目惚れで、あの頃から、でも一夜さんが悲しい顔を見たくないから、そうじゃないって嘘ついて好きって言って、でも好きなのもほんとで、それで、だから、俺が悪くて、ほったらかしにして、で、ダチと兄が余計なこと言って、一夜さんと離れて……
ごめんなさい!!
でも、俺、寂しかった……」
敬語も崩れているほど虎汰郎は興奮して喋る。
さっきと違って、俺が冷静で、虎汰郎が混乱している中、俺は虎汰郎の背中を叩く。
ゆっくりとしたリズムで叩いていると後ろから鼻をすする音が聞こえる。
泣いている虎汰郎に俺は、
「好きだよ。」
と言った。
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