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「兄さんには今も助けてもらっています。
高校生の時はバイトばっかりして、
卒業したらすぐ働いて、
今は学費も払ってもらってて、
バイトして返したいんですけど、
増やしすぎると兄さんが過保護なんで心配しだすんで、一個しかできなくて。
親が亡くなってから、本当に面倒見てもらってて、親が死んだ理由も兄さんずっと隠してたんです。
で…、
その話を俺が偶然聞いてしまったんです。
兄さんから、
『ごめんな。でも本当のことなんだ…。本当ごめん。』
って何回も謝られました。
けど、俺、受け止めたくなくて今度は無邪気な子供のように笑顔で笑って、
何も知らないふりをしていました。」
そう言って、虎汰郎は笑う。
その笑顔にずきっと心が痛む。
「だから今、敬語が離れなくて。
笑顔が離れなくて……。
一夜さんに敬語止めろって言われたときありましたよね。あのとき、無理でしたよね。」
「虎汰郎。
ちゃんと笑えているか?」
「はいっ。一夜さんの前の笑顔は本物ですよ。」
俺の目を見てそう言ってくれて安心した。
もしかしたら嘘つかれているかもしれないが、
俺の前では本当の笑顔を見せようとしていてくれるだけでいい。
「あと、敬語もやめろ。さん付けも止めろ。」
「でも、前無理で…。」
「言い訳言うんじゃねぇ。俺の顔を伺う必要はない。」
「は…うん。頑張…る。」
「ん。名前は?」
「え、それはまた今度で!」
「俺だって虎汰郎って呼び捨てしてる。」
「それは…それで…」
「言い訳」
「う…、い、いち、や…」
「ん。」
「無理です「敬語」…無理だよ。」
「頑張れ。」
そう言って少し遠い虎汰郎の頭をポンポンする。
「も〜〜。次!早く話してくだ……話して!」
「次間違えたらペナルティな。」
そう言うとさらに拗ねるもんだから、面白くなるもんだ。
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