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「虎汰郎…?」
いきなり手を振り払われて虎汰郎の顔を覗き込む。
「んっ…ヒック…」
虎汰郎の顔は涙でぐしゃぐしゃだった。
「どうした?俺何かしたか?」
虎汰郎は首を左右に振って、ぎゅっと俺の腕を掴む。
「ち…がう、の…」
必死に伝えようとしている虎汰郎を落ち着かせる。
トントンと背中を撫でると小さく動いていた背中がゆっくりと動きをなくす。
「大丈夫か?話せるか?」
「ん」
俺の腕の中で首を大きく縦に振ったところを見て腕を緩める。
「あの、ね…」
ぎゅっとおれの手を握りながら俺の目を見てくれる。
「一夜がその……セ、ックスをさ、慣れている感じがして嫌だった。俺は初めてだけど一夜は初めてじゃないのが嫌だった。
俺だけ緊張しているのかなってさ。
俺さ、一夜の初めてが欲しい。
ごめん、俺のわがままでさ…」
「いや、いいよ。むしろ嬉しい」
虎汰郎はなんでも俺優先だったから、初めてかもしれない。
虎汰郎のわがまま。
「それに俺も緊張してる。ほら。」
繋いでいる手を俺の胸に持っていく。
ドクンドクン
自分の手からも伝わる早い鼓動。
「あ…」
「な?
…虎汰郎。俺の初めて、もらっていいよ。」
「でも、もうないじゃん。」
「あるよ。俺、処女だからさ。」
思ったことあるんだ。
虎汰郎になら突っ込まれてもいいって。
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