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案外な想定外なる偏見。特殊特攻隊員side
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口の中に残る苦い味。
心の中もドロドロと黒いモノがある。
FB「…なん、で…隊長言ってくれなかったんですか…」
俺はギュッと目を閉じてペンダントに触れる。
FB「………」
多分、隊長は俺を思って言わなかったんだろうけど。
俺が当時の隊長達がいた期生を知らないから。
除け者にならないようになのか。
FB「…だからって…あんまりだろ…」
もうすぐ夜営戦場に向かう。隊長からではなく、上の上の更に上の人から、中将を通して伝達された。
ミク「マスター、大丈夫ですか?」
小柄な翡翠の少女。綺麗な声を響かせて俺の頭を撫でる。
FB「…ミク……、…俺…怖い…」
ミク「…マスター…?」
FB「…俺、…隊長とか…きっく…大佐とか…軍医のあろまとかいなくなるのは…俺が一人になるのは嫌だ…」
ミク「…マスター…」
そっと頭に手を置いて優しい手つきで撫でてくれる。
FB「変だよな…俺…隊長に…えおえおに…あれだけ偉いこと言っておいて……でも…怖いんだよ…」
えおえおがあろまを恐れてしまうように。
子供が大事なおもちゃを壊してしまうかもしれないように。
俺はあいつらが怖い。
優しいえおえおがいつか、死んでしまうんじゃないか。
心配してくれるあろまがいつか消えてしまうんじゃないか。
きっくんが…もう、俺を助けてくれないんじゃないか。
俺を見捨ててしまうんじゃないかって怖い……
ミク「…マスター、…大丈夫ですよ。あの人達は、貴方の傍にいますよ」
FB「…そ、か…そう…だよな…」
ミク「だって、マスターと皆さんは、ずっと昔から一緒にいましたから。そんな簡単に離れる訳ないですよ」
FB「…え?そんな…俺が隊長と出会ったのも…最近に近いのに…」
ミクはニコリと笑って身を翻す。綺麗な翡翠のツインテールが揺れる。
ミク「さぁ?何故でしょう?」
FB「…ミク中将‼」
ミク「はい?なんでしょうか、マスター」
FB「…ずっと、祈っててくれるか?離れ離れにならないように」
ミクは微笑んで俺の胸元の翠色のペンダントをつつく。
ミク「マスターが言うなら、幾らでも私は祈って舞いますよ」
だって戦場の歌姫ですから。そう言い去っていった。
FB「…急ごう」
えお「FB、何処行ってたんだ。そろそろ向かうぞ」
振り返ると、ぼんやりした表情の俺が慕う隊長。
彼の首には俺の持つペンダントの色違いが掛かっていた。蒼く煌めいている。
FB「…はいっ、たいちょお‼」
先に歩く隊長のうなじ辺りを俺はちらりと見る。
"F91"
そう小さく刻まれている。
FB「……」
俺にもそんなものが付いているな。
"FB777"
俺が忌み嫌うコードネーム。
痛かった。心が痛かった。
身体なんてどうでも良かった。
仲間から、友達から裏切られたく、なかった。
……ツキン…
頭が少し痛い。
…いつか、隊長も俺に打ちけてくれるよな。
…実験、とか。
……
…
…あれ?
…いつから、始まったんだっけ…?
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