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決意
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ーー征次郎、いい加減にしろっ!!
ーー征ちゃん、正気に戻ってちょうだいっ!!
両親の悲痛な叫び声が静かな部屋にこだました。
俺は、之人と一緒になることを両親に告げた。
結婚はできなくとも、人生を共にして行きたいと。
すると両親はこの様だ。
こうなることはなんとなく予想はしていた。 もしかしたら認めてくれるかもなんて、淡い気持ちを抱いた俺が馬鹿だったのだ。
「ねぇ、征ちゃん。 お母さんね、征ちゃんのために大曽根財閥のお嬢さんとのお見合いの場を設けようと考えていたの。 美空さんって言うのよ。 素敵な名前でしょう? 容姿もとても愛くるしくて可愛いのよ。 美空さんに会ってから、決めてもいいんじゃなくって? きっと、あなたも思い直すわ。」
「…っ。」
之人が、息を飲んだのがわかった。
俺の隣に座る之人が膝の上で手を握りしめていた。
俺はその手に自分の手を重ねる。
少し、之人の力が抜けた気がした。
「そうだな、征次郎。 母さんの言う通り美空さんに会って思いな……」
「父さん、母さん。 俺の話聞いていましたか?
俺は、之人と一緒になるって言いましたよね?
それがなんですか。思い直す? 俺のこの気持ちを気の迷い で片付けないでください。
あなた方は、今この場にいる之人の気持ちを考えて言っているのですか。 そんな方々だったとは… 大変遺憾です。
…藤田財閥のことは、あなた方にお任せします。
俺はもう、金輪際 財閥とは縁を切らしていただきます。 それでは、失礼します。 行くぞ、之人。」
俺は一気にまくしたてた。
自分でも驚くほどに言葉が次から次へと溢れた。
それほどまでに之人への侮辱は、俺の逆鱗に触れた。
両親は、裂けんばかりに目を見開いていた。
俺は、生まれてこのかた両親に逆らったことがない。 それに、一人息子に縁を切ると言われるなど想像もしていなかったのだろう。
きっと、2人で言えばそうですかと帰ってくるとでも思っていたのだろうと容易に想像ができる。
腹が立つ。 俺は、両親の顔を振り返ることなく之人の手を握り同棲している家に帰った。
「ねぇ、征次郎さん。 大丈夫なの? 縁を切るなんて言っちゃって。
やっぱり俺なんかが、一緒にいちゃダメな人なんだなって思ったよ。
ごめんね。征次郎さんのこと好きになっちゃって。 早く、ご両親のところに戻って。俺のことはいいから…。」
之人の顔は、苦痛に歪み涙が溢れていた。
「本当にいいのか…? お前の俺に対する気持ちはそんなものだったのか? 俺は、全てを捨ててでもお前と共にいたい。 両親が納得しないであろうことは最初からわかっていたんだ。
理解してもらえなければ、縁を切ろうとお前と出逢って一目惚れした時から決めていた。
お前は俺と共に人生を歩むことに… 不安があるのか?」
「…そんなわけないっ。 征次郎さんがそこまで俺のことを思ってくれてるって知れて俺今すごく幸せだって思った。 勝手に、俺が征次郎さんの将来の邪魔してるって不安になって、征次郎さんの気持ちも考えないで。 俺ほんとに馬鹿だ。
ほんとにごめん。 俺、ずっと征次郎さんのこと大好きだって誓うから。 俺のこと、絶対離さないでね。」
「あぁ、当たり前だ。 お前は一生、俺のものだ。之人。」
両親の態度には、今だに許せないものがある。
もう顔も見たくないほどに。
ただ、こうやって之人ともう一度想いを確認する機会をくれて、 こんなに可愛い之人を見れて、
両親も少しは役に立ってくれたと思う。
「なぁ、之人。 俺、お前と一緒になるって誓うまで、お前に絶対手を出さないって決めてたんだ。 そして今、誓った。 …いいか? もう我慢できそうにない。」
「…っ。 征次郎さん……。 い、いいよ。俺も征次郎さんとしたい…。」
顔を真っ赤にしてそう告げる之人。
本当に可愛い。 俺の理性は、もうすでに残りわずかとなっていた。
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