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夢見た風景。
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俺は、差し込む朝日の眩しさに目が覚めた。
ふと目を開けると俺の横には愛する之人の横顔があった。
こんな幸せな風景を見ることができるなんて、夢でも見ているのではないかと1人頰を抓る。
こいつと会ってから、俺は俺らしくなくなっている。 夢かと疑うほどに嬉しかったことなど、之人と出会うまでなかったのだ。
朝から幸せの余韻に浸っていた俺は部屋に漂う昨日の情事の残骸に現実に引き戻される。
俺たちは昨日初夜を迎え、2人して疲れ果てて眠ってしまったのだと思い出す。
俺は急いで、脱ぎ捨てた2人の衣類を洗濯し之人の体を隅まで綺麗にした。
綺麗にしているとはいえ、急に身体をまさぐられ
少し身じろぎをする之人。
襲いたい衝動にかられるが我慢する。
キスしてしまおうかと、唇を見つめていると…
「…征次郎さんっ? 何してるんですかっ⁉︎ 」
どうやら目覚めたようだ。
「それは… 之人の身体を綺麗にしていたんだ。
昨日、俺も之人もそのまま寝てしまったからな。」
「…っえ! あ、その… ありがとうございます…。」
顔を真っ赤にする之人が可愛くて、俺はすかさず唇を奪った。
「もぉ… 征次郎さんったら。 そういえば、征次郎さんも朝ごはんまだですよね? 俺なんか作りま……ぃたっ。」
立ち上がりかけた之人は、短く呻いてしゃがみこんでしまった。 おそらくは俺が原因だろう。
「大丈夫か、之人。 俺のせいですまない…。
初めてなのにもかかわらず歯止めが効かなかった。 朝ごはんは俺が作ろう。 いつもお前が作ってくれるからな。 」
そう言って俺は、台所へと向かった。
こうして家事をしてみると、いつも素早く家事をこなす之人は本当にできた妻だなんて惚れ直したりするのだ。 もちろん、之人には言っていないが…。
俺は、難なく2人分の朝ごはんを用意し2人で食卓を囲む。
他愛もない話をして、笑いあって、
こうして俺たちの日常は始まっていったのだ。
こんな幸せな人生、手放してたまるか。 之人は絶対に離さない。 そう胸に誓いながら。
何年も…何十年も…。
死が2人を分かつまで…。
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