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落胆
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俺は、部屋を出てからカウンターに向かう。
まさかアイツが同じ学校に通ってるなんて思いもしなかった。 運命ってあるのかもしれねぇな。
なんて思ってる俺は重症なのかもしれねぇけど…
現に前世の記憶があって、惹かれるなんて運命だよな。 アイツも俺のこと覚えてて探してたのかも と期待に胸を膨らませる。
ーーいた。 客の入りが時間的に少ないのか、暇そうに椅子に座っていた。
「あの…。」
俺は恐る恐る声をかけてみた。
「え?あっ、はい! どうなさいました?」
いたって普通な客と店員の会話。
胸が少し傷んだ。
「いや、お前さ。 春蘭第一高校なんだって?
俺も同じ学校なんだ。 気になってたから声かけようと思って。」
「えっ、俺のこと知ってるんですか?」
「だいぶ噂になってるぜ? 美少年の転校生だって。」
「そんな…僕なんて全然なのに。。」
「そーか? 綺麗な顔してると思うぞ? てうかさ、お前… 藤田征次郎って知らね?」
「藤田…征次郎さんですか? んー、、知らないです。 高校の関係者か誰かですか?」
「…っ。 あ、いや、しらねぇならいいんだ!
急に変なこと聞いて悪かったな! じゃあ、俺
他の奴ら待たせてるから、行くわっ。 頑張ってな!」
「あ、はいっ! ありがとうございます!ごゆっくり!」
…まじかよ。俺勝手にアイツも俺のこときっとおぼえてるだろうって心の中で決め込んでた。
覚えてねぇて分かった時、ありえねぇくらい動揺しちまった。
メアド聞こうと思ってたのに、それも忘れちまってた。
やべぇ。まじで、沈んでんわ、今。
帰ろうかな。 誰かと一緒に居たくねぇし…
こんなに、一目惚れしたのいつぶりだろ。初めてかもしれねぇな。
前世の記憶なんてなけりゃよかったのに…。
まじ最悪だ。
部屋に戻ると、俺の顔は血の気がなく真っ青になっていたらしく綾人に無理やり帰された。
相当こたえたんだな と我ながら情けなく思う。
帰路もアイツのことをずっと考えていた。
「…そうだ。アイツが俺のこと、征次郎のことおぼえてねぇなら之人じゃねぇ、アイツ。 珀に征次郎じゃねぇ俺を好きになってもらえばいい。
もしかしたら途中で思い出すかもしれねぇし。」
こうして俺の、密かな戦いは幕を開けた。
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