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接近っ⁉︎
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「おいっ、大丈夫か?」
俺はしゃがみこんで珀の顔を覗き込む。
口の端から血が出ている。 無性にイライラする。
「…っ。 だ、大丈夫ですっ。 ごめんなさいっ。」
珀は、恐怖で引きつった笑顔を浮かべていた。
「謝んなくていいんだよっ! なんであんなことになったんだ。 とりあえずここじゃあれだ。立てるか?」
そっと、頷く珀。 やべぇ、可愛い。 男になんて興味なかったのに。 前世の記憶の存在がでかすぎる。 こんなに惹かれちまうなんて。
俺は珀の腕を掴んで立たせ、歩き出す。
「…ここは?」
「ん? 屋上。 授業サボる時に俺がいるとこ。
お前はサボったことなさそーな顔してるよな。
ごめんな。」
「い、いえ…。 あの… 何でここまでしてくれるんですか? 俺のことなんてほっとけばいいのに。」
…お前のことが好きだから。 なんて言えねぇよな。
「いや、困ってたから? お前さ、俺のこと覚えてねぇ?」
…黙って俺の顔を見つめてくる珀。
やべぇ、その顔反則だろ。
ん?急に珀の顔が明るくなった。
「昨日、店に来てくれた人ですね!こんなとこで会うなんて!奇遇です!」
こんなに明るく笑えるんだな。 それに奇遇って… まぁ、追いかけてたんだけどな。俺。
「お前さ、なんであんなことになってたわけ?」
「……。」
「いや、言いたくねぇならいいよ?」
「いえっ、助けてもらったんですから。 実は俺。 転入生で… 1ヶ月前にこの学校に来たんです。こんな容姿だし、親が社長だから…。 金づるにはうってつけだって。 お金せがまれるようになって。 拒み続けてたら、殴られるようになったんです。」
「まじかよ…。 お前さ。今度から俺と一緒に行動しねぇ? 俺、結構やんちゃやってっから俺と一緒にいれば大丈夫だから。」
気がつけば、俺は珀の肩を掴んで言っていた。
やべぇ、びびらせたかな?
「…っ。」
えっ? 泣いてるっ⁉︎
「えっ、わ、わりぃ。 さすがにこんな茶髪の不良みてぇな奴と一緒に居たくねぇ…よな。」
流れるほど嫌だったのかよ。 こりゃ前途多難だ。 ぜってぇ、オトすけどっ。
「…ちがっ、嬉しくて。 俺、そんなこと言われたことない…から。
こんな俺でいいなら一緒にいて。」
…あ、やべぇ。勃った。 可愛すぎる。
落ち着け俺! バレたら…終わる。 俺の人生が。
「当たり前だろ! 俺、浪川龍弥な!よろしく!」
「うんっ! 俺、綾川珀。 よろしく!」
そうして俺たちは、手を握り合った。
「そろそろ、戻るか。 いくぞ、珀!」
「えっ⁉︎ あ、うん! 行こう!…龍弥…君。」
「龍弥でいーよ。」
俺は2人で、階段を降りていく。
このあと2人でこっぴどく怒られたのは言うまでもない。
生徒指導のじーさんのこと、マジで嫌いだったけどあいつ顔見て俺の息子は元気をなくしてた。
ある意味感謝だな。
色々あったけど、案外すんなり珀に近づけた俺は
この後の授業中もずっと珀のこと考えてたってのは内緒な!
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