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chapter Ⅹ
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side 黎
「ひゃーー!」
「おぉ....」
「『.........』」
上がって、下がって、回って、
顔に当たる風圧に耐えること数分。
やっと解放された俺はベンチにもたれて
息を吐き出す。
何が楽しいのか全く分からなかった。
ボサボサの髪を軽く梳く。
疲れた。寮に戻りたい。
「悠、大丈夫?飲み物取ってこようか」
『いい』
「人に酔った?膝枕でもしようか」
『馬鹿なの』
何故か頬を撫でてくる雪の手を振り払う
気力もない。
地味に冷えた指が気持ちいい。
『ン、』
「ふは、猫みたい」
クスクスと漏れる笑い。
そこで、視線を感じた。
顔を上げると何か言いたげに
こちらを見るチワワ達。
『何』
「なんか....二人って兄弟っていうより
恋人みたいだね」
「『は?』」
チワワの言葉に雪と揃って
眉をひそめる。
恋人?俺と、雪が?
「だって、なんか.....ねぇ?」
「そうだな」
見上げるチワワに大型犬が同意した。
どこに同意する要素があったのか。
「距離が近いっていうか、雰囲気が
甘いんだよね。」
『頭大丈夫?眼科行けば?』
「ちょ、酷くない!?久しぶりの会話が
それなの!?」
「騒ぐな」
「愛翔まで!?最近僕に冷たくない?」
「まぁまぁ落ち着いて、オレ達は
少し休んでるから、二人はもう一度
行っておいでよ。まだ乗りたいでしょ?」
「え?それは、そうだけど.....」
「行こう」
もう一度大丈夫だから、と繰り返した
雪を見て大型犬が促し、ようやくチワワが
いなくなった。
隣に座った雪の肩が丁度良い位置にあった
ので頭を乗せて目を閉じる。
変わらず騒がしい空間だけど
視界が無い分少し酔いが治まった。
やはり人が多い場所は好きじゃない。
「気づいてる?」
『あぁ』
「どうしよっか」
困ったね、なんて言いながら全然
困って無さそうに話す。
「悠に手を出さなきゃオレは何もしない
けどね」
嘘だ。俺に危険が及ぶ可能性がある時点で
雪は先手を打つ。
スマホをタップする音を聞きながら
いつ終わるのだろうかと思考をめぐらせた。
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