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chapter Ⅲ
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side 黎
何か予期せぬ事が起こった時、
パニックになるのは可笑しい事じゃない。
が、その後すぐ冷静になれるかが
分岐点となる。
流石はお坊っちゃん校。
見事に間抜け面ばかりだ。
普段問題を他人任せにするからもしもの場合に対処できないし行動できない。
ヒステリックに喚き散らしたりメソメソ
泣けば勝手に問題が解決するとでも思っているのだろうか。随分と能天気な奴らだ。
呆れたことに、教師までもが無能なのだ。
もっとも、平和ボケした表社会しか知らない奴に迅速に行動しろというのも無理な話だろうが。
別校舎の屋上でフェンスに凭れたまま
欠伸を噛み殺す。本校舎にいる奴らの
慌てふためく様が丸見えだ。
傍観するならばこれ以上の特等席はない。
不意に震えたスマホの画面をタップした。
『はい』
≪タイムリミットは一時間だよ≫
『随分と酷な事を』
≪仕事に支障を出したくないからね≫
『貴方も大概ですよ』
お互い様だよ、と返されて苦笑い。
俺の量など、この人の三分の一にも満たないというのに。
≪終わったらお茶飲みにおいで≫
言うだけ言って切れた通話。
まるでちょっとしたお使いを頼んだかの様な雰囲気だが内容はもっとエグい。
そもそもこの伯父が甘いのは身内のみであり仕事に関しては親父に勝るとも劣らぬ冷酷さだ。容赦慈悲一切なし。
その上かなりのやり手で実業家だ。
そんな人間の所有物に手を出したなら、
『破滅か、良くて死だな』
この世に死より辛く恐ろしいものは山程
ある。最初は死にたくないと懇願したくせに暫くすると殺してくれと叫ぶ。
死は、逃げであり救いだ。
人は弱くて臆病で傲慢で欲張りで。
人が人を殺し、陥れる。
醜い人という存在。
本当、愛だの恋だの下らない。
『時間か』
切り替わった画面を閉じ、怠い体を起こす。
相手が無駄な抵抗をしなければ十分程度で
終わるのだが、可能性は限りなく低い。
予想される展開に溜め息が零れた。
side 黎 END
作)更新遅くなってごめんなさい!
もうすぐテストなんです(言い訳)
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