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chapter Ⅲ
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作)長らく更新できず申し訳ありませんでした...
side 黎
『俺に、その疑問に答える義務はない』
「だったら、その手にしている銃はどう
説明する!?」
「「どうやってここに入ったのかも
知りたいよねー??」」
どうして少しは自分の頭で考えようとしないのだろうか。そもそも、
『答えならそこにいるだろ。
いい加減出てこい』
カチャリと音を立てて開いたのは、生徒会室から仮眠室に続く扉。
そして、姿を表したのは生徒会書記。
本物の、砂季 薫だ。
「薫、お前なんで....」
「あーあ、見つかっちゃった」
呆然と立ち尽くす仲間に、砂季は嘲笑を浮かべて見せた。そして表情を消すと、一気に捲し立てた。
「俺さぁ、ほんとはお前らのこと大嫌いだったんだよ。チームに残ったのも先代に頼まれたからだし?情報管理だって俺に任せきりで、俺が放棄したら一気に攻めこまれるんだからね?好き放題やるお前らの尻拭いさせられる俺の気持ち分かる?みんな自己中で人の意見聞かないくせに我が儘ばっかで..」
普段のゆるゆるした話し方ではなく、嘘と本音の入り交じった心の叫び。心当たりがあるのか、生徒会は甘受している。
「だから、全部壊してやろうと思った。そこにいる兄貴にも協力してもらって、お前らの地位も仲間も心もこわ「違う!」」
「悪いのはお前だけじゃない!」
遮ったのは、以外にも会長だった。
「確かに!お前は裏切ったのかもしれないけど!俺だって、お前に甘えてた。お前がなんてことないような顔をして全部こなすから、あれこれ押し付けて、気にも掛けなかった。然り気無く忠告してくれても耳を貸さずに突っ走って、結局お前に迷惑かけてた。本当にすまん!俺が悪かった!」
「私も薫なら大丈夫、なんて勝手に思い込んで、心配すらしていませんした。本当に申し訳ありませんでした」
「「かおるんごめんなさい!!」」
会長を皮切りに、次々と頭を下げるメンバーに、砂季は困惑し、表情を崩した。
「なんで...なんでお前らが謝るんだよ」
「何年一緒だと思ってるんだ。お前の
嘘ぐらいすぐに見抜けるっての」
「嘘吐く時必ずポケットに手を
いれるんですよ、貴方」
「「かおるんって顔にでないけど、
結構分かりやすいよ?」」
「なっ、なっ、」
わなわなと震えだした砂季はついに爆発した。
「なんっだよそれ!?頑張って
嫌われようとした俺の苦労は!?
ていうか何が何年一緒だと、だよ
俺と兄貴が入れ替わってるの全然
気づかなかったくせに!!俺、俺..」
まるで子供のように喚き散らした上に、段々と涙ぐんできた。つられて生徒会も涙ぐんでいる。あぁ、なんて安っぽい青春ドラマなんだろう。鳥肌立ってきた。なんて思いながら出来るだけ離れた所で簡易報告を送っていると、
「ふざけるなっ」
いつの間にか目を覚ましたらしい砂季(兄)が冷静さを打ち捨てて喚き始めた。
「薫、お前は俺のものだろう!仲間を裏切ったお前は仲間に捨てられて、俺のものになるんだ!ならなきゃいけないんだよ!」
「ぁ、俺..」
なんとも自己中心的で自分勝手な発言。長年拗らせてきた兄弟愛はいつしか狂気に変わったらしい。
しかし、砂季が仲間を裏切ったのは事実。兄に刷り込まれた恐怖が罪悪感を煽る。
「ふざけんなっ、薫はものじゃねぇ!」
「察するに、貴方が薫を脅して
裏切らせたのでしょう?ならば、
私達が彼を見捨てる理由はありません」
「「かおるんは僕達が守るもん」」
砂季を庇うように進み出た生徒会に、
今度は砂季(兄)が震えだした。
「無能で無力なお前達に薫を
守る資格なんてない!!」
「はいはいそこまで~」
放っておいたらいつまでもヒートアップしそうな雰囲気に割って入った声の主は、俺がさっきロックした扉をあっさりと解錠してみせ、
「長くなりそうだし、続きは場所を
変えてから。ね?」
パチン、なんてウィンクを飛ばしながら俺の腕に抱きついてきた。
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