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chapter Ⅲ
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side 黎
「ふぅん?俺がアキを、ねぇ」
特に何も考えずに発したのだが、嗤われたとでも思ったのか、男は酸欠と怒りで赤かった顔を更に歪ませた。思ったことがすべて顔に出ているし、安直な思考回路。ほんと、下らない。
「ぁ....!?」
ガクンっ、と膝から崩れ落ちたのを横目に
手元のスイッチを切り替える。
本人が言った通り中々高性能らしい。
あーあ、折角頑張って我慢してたのにね。
「ふ、く..んんっ」
「秋月くん...?」
さっきまで元気に騒いでいた奴がいきなり座り込んで俯いたまま体を震わせれば、当然人目を引く。突然拘束から解放された砂季(兄)は茫然とした後、慌ててアキの下からはい出した。別にこのまま放置しようが何ら問題は無いのだが。
「アキ」
「れ、ぃ」
「おいで」
「...ぅん」
頬杖をついたまま名を呼ぶと、
蕩けた琥珀が瞬いた。
ふらふらと覚束無い足取りで、だが
しっかりと俺の足元に辿り着いた。
はふはふと荒い息のまま膝に頭を擦り付けてくる様に目を眇める。あぁ、本当に犬のようだ。誉める代わりに手を伸ばし、指通りのよい髪を梳いた。
「コイツが俺に無理やり従わされてるカワイソウな仔犬に見える、って言うならあんたの目は節穴だよ」
「なん、だと」
訝しげにひそめられた眉が可笑しくて、
つい吐息を漏らす。
だってそうだろう?
「誰が躾たと思ってるわけ?」
ぐい、と顎を掴んで顔を上げさせる。
「「「っっ、」」」
途端に、一同が息を飲んだ。
ただでさえ元が良いのだ。
それこそ泣き顔すら醜いとは思われない。
そんな奴が快楽ゆえに辛そうに顔を歪め、
潤んだ琥珀に確かな欲を浮かべ、形のよい唇を少し開いたまま頬を上気させているのだ。なればこそ耐性が無ければ魅入るのは至極当然と言える。
「アキ」
「...ん」
「俺以外の奴の所に行きたい?」
「な、で...?」
「お前が、俺に不当に支配されているよう
に見えるらしいよ」
「やだ、いやだごめんなさいごめんなさい
悪い所は全部直すから何でも言うこときく
からお願い捨てないで!」
「ハ、…」
コイツを離さないのは俺じゃない。
コイツが俺から離れられないのだ。
それこそ、他人(ヒト)の視線など
気にせず、こうして縋ってくる程度には。
コイツはどう見たって、
「立派な狂犬だろ」
盲目だというのなら、それでいい。
俺しか見れないのなら、目が覚めるまで飼ってやる。それが飼い主の、こいつを拾った俺の役目だ。
だが、これ以上は駄目だな。
少し突き放しすぎた。
「安心しろ、お前が望まなきゃ捨てない」
涙でぐちゃぐちゃな頬を拭い、
優しく囁きかける。
躾は鞭だけじゃ意味が無い。
「ほんと?」
「ああ。約束だからな」
「れい」
「ん?」
''好き''
確かにそう口が動いた。
「知ってる」
縛り付けられているのはどっちだろうな?
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