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番外編 始まりの日の話 2
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「これはどの部屋に置きますか?」
「あ、そっちのは奥の部屋に。もう一つのは手前の部屋にお願いします」
よく晴れた日。何もないガランとした部屋にダンボールや家具が次々と運び込まれる。
今日は俺たちの始まりの日だ。
なんて言うと大げさかもしれないけど、この春からお互いに大学生になるため、お互いの大学の真ん中あたりに二人で住む部屋を借りた。
間取りは2LDKで見晴らしのいい高台にある。
引っ越し屋さんが来る少し前に来て掃除などを済ませ、荷物が来るのを待ちわびていたわけだが、いざ運び込まれ始めるとあっという間に忙しくなって少し汗ばんできた。
たまらなくなってまだカーテンのかかってない窓を開けると爽やかな風が舞い込んでくる。
今日の天気は雲ひとつない快晴。朝晩はまた少し肌寒いものの日中の日差しは燦々と気持ちよく、新しい門出の日にはもってこいの天気だった。
「お荷物は以上でお間違いないですか?」
「あ、はい。ありがとうございました」
二人で見送ると修平が俺の顔を嬉しそうに覗き込んだ。
「これから片付けしなきゃだけど、いよいよって感じだね」
「うん。これから始まるんだな」
ダンボールが積み上げられたままの部屋を見渡して、そしてどちらからともなく視線が合いまた笑い合った。
「母さんがさ、修平に迷惑かけるなって言ってた。かけねぇって言い返してやったけどさ」
すると修平はクスっと笑いながら俺の髪をそっと撫でる。
「おばさんも心配してるんだよ」
「でも俺が迷惑かけるって決めつけてるのがおかしい!」
「僕としてはもっと迷惑かけられたいけどね」
「お前はそんなことばっかり言うよな」
呆れた顔で見るも修平は嬉しそうにするだけで思わずため息が漏れた。
「よし! 荷解き始めちゃおうか」
するも修平が、そう言いながら部屋に戻ろうとするので、ハッとしてその袖口を掴んで引き止める。
「どうしたの?」
引っ越しの荷物を運び終えたら、まずやってみたいことがあったのだ。
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