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浅黄が綾倉家に来た日 2
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浅黄は、ソファーに深く座ると、大きく息を吐いた。
「緊張してるのか?」
「あんまり、緊張するタイプじゃないんだけどね」
リビングで、綾倉と共に綾倉の母が来るのを待っていた。
「言っておくが、母はなかなか手強いぞ」
「なんでそんな気を削ぐようなことを言うんだよ」
「店に来た客だと思えばいいだろ」
「思えないよ」
綾倉は面白いものを見るように浅黄を見て笑った。
「もし、俺の母親が生きてたら、綾倉さんは会ってた?」
「お前が望むのであればな。
女の子を紹介するのとは違うだろ」
「そうだね。母親に、同性を好きになったって言う勇気はなかなかでなかったろうな」
藍川が「お見えになりました」と二人に声をかけると、「お待たせ」と言いながら綾倉の母が入ってきた。
綾倉と浅黄は立ち上がった。
大きなダイニングテーブルに、母の向かいに綾倉、その隣に浅黄が座った。
綾倉の母は、髪はきれいに整え、背筋を伸ばして座り、着ている服も上品で、服の色に合わせたネックレスとイヤリングをし、そこら辺の年寄とは全然違うというのが浅黄の第一印象だった。
しかし、表情からすると、浅黄のことを無条件に歓迎というわけではないようだった。
「若いとは聞いていたけど、想像以上だったわ。
あなた、見た目も悪くないのに、いったい、なんだってこんな年寄りと付き合ってるの?」
「年寄とは失礼な」
綾倉が抗議した。
綾倉の母は、息子の言うことは気にせず、浅黄の答えを待った。
「みんなが言うほど、年の差は気になりません」
「話は合うの?」
「合う時も合わない時もあります。
どちらの時も楽しいです」
「あら、そうなの?」
綾倉の母は疑わしげだった。
「ホントに。
綾倉さんの言うことは、普通と違って、意表を突いて来るので面白いです」
「人を変人みたいに言うな。
お前の考えが浅いだけだろ」
「そうなのかな。
生きてきた環境が違うからだと思うけど」
「じゃあ、『普通と違って』なんて言うな」
「細かいね」
「細かいわけじゃない。
正しい言葉を使えと言ってるんだ」
「でも、『普通と違って』って、いい意味にも取れると思うけど、なんで悪い意味にとったの?」
「お前が悪い意味で言ったのが伝わったんだろ」
浅黄は言葉を返そうとしたが、二人のやりとりを綾倉の母がじっと見つめているのに気づき、口を閉じた。
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