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浅黄が綾倉家に来た日 5(おしまい)
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食後のコーヒーを飲み終わり、綾倉の母は浅黄を見た。
「10年ぐらい前、この人か結婚するって聞いたとき、女性に興味がないって思っていたから、正直喜んだわ。
彼女に会うまではね。
その女性と離婚したと思ったら、今度は男性を連れてくるとはね」
「すみません」
「あら、あなたが謝ることじゃないわ。
前の結婚のように、この人は、時々、愚かなことをするけれど、基本的には、私は息子のことを信じているの。
あなたは、息子が『好きな人』として私に紹介した初めての人なのよ。
やっと、そういう気持ちになった相手に巡り合えて、本当に良かったと思っているわ。
あなたがどんな人なのかは、まだよくわからないけど、今日、あなたたち二人の様子を見て、この人があなたのことを大切に思っていることと、あなたがこの人を信頼していることはよくわかった。
だから、この先もずっと、あなたがこの人のそばにいてくれたらと思ったわ」
彼女の意外な発言に、浅黄は綾倉の顔を見た。
綾倉は自信たっぷりにうなずいた。
綾倉の母が立ち上がったのに合わせて浅黄も立ち上がった。
「それじゃあ、おやすみなさい」
綾倉の母は、離れに帰っていった。
「ああは言ってくれたけど、本当は、俺のこと、あんまり、綾倉さんにふさわしいとは思ってないよね」
「そんなことはない。
母は、相手の嫌がることを言って、反応を見てるんだ。
だから、嫌なことを言われたからと言って、必ずしも悪い印象を持たれたわけじゃない」
綾倉は、妻を紹介した時に、食事の場が険悪な雰囲気になったのを思い出していた。
後で妻から、「あなたのお母さんは失礼な方ね」と言われた。
あの時母は、食事の後は「失礼するわ」とひとこと挨拶したきり、さっさと部屋を出てしまい、今日、浅黄にしたように、妻に話しかけるようなことはなかった。
夜も更け、2階に上がると、綾倉は寝室の隣の部屋の前で止まった。
「ここはお前の部屋だ。
好きに使っていい。
マンションで使っていたベッドをこっちに持ってくる予定だ。
今週中には手配できると思うが、それまでは、お前はこの部屋で寝ろ。
今のベッドは二人で寝るには狭いからな」
「わかった」
「それじゃあ、おやすみ」
「おやすみ」
綾倉は振り返りもせずに、自分の部屋に入っていった。
なんとなく物足りなさを感じながら、綾倉の背中を見送った後、浅黄も自分の部屋に入った。
まだ眠くもなく、かといって持ってきた荷物を片付ける気もせず、ベッドに座ってスマホを取り出しゲームを始めた。
始めてすぐにメールが来た。綾倉からだ。
『何してる? 早く来なさい』
浅黄はすぐに部屋を出た。
綾倉は既にベッドの中にいて、入ってきた浅黄を手招きした。
「隣で寝ろって言ったじゃない」
「冗談を本気にするな」
「わかりにくい冗談だったよ」
「今まで、何回か、このベッドで一緒に寝たのに、『二人で寝るには狭い』はないだろ」
「だから、おかしなことを言うなって思ってたんだ」
「なら、そう言えばよかっただろ」
「今日は一人で寝たいのかなって思ったから」
「今夜は一緒に住む初日なのに?
ありえないだろ」
浅黄はベッドに入り、横たわる綾倉の頬に触れた。
「これからずっと一緒なんて嘘みたいだ」
綾倉は浅黄を抱き寄せ、キスをしながら自分が上になるよう体勢を変えた。
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