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紅葉の季節 7
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相田の家で飲み会をやろうと言い出したのは野口だった。
相田は、「なんで俺のうちなんだ?」と言いながらも、結局はみんなが集まるのを承諾した。
メンバーは、相田、野口の他に、黒澤、酒井、浅黄、そして、桜井の6人だ。
相田のアパートに、惣菜や酒を買い込んで集まることになった。
6人の男がスーパーであれやこれやと、かご2つをいっぱいにして店を出た。
そこから歩いて7分ほどのところに相田のアパートがある。
荷物はじゃんけんで負けたやつが持つということになり、桜井が3袋持って、みんなの後について行った。
桜井を除いた5人は、以前浅黄が店長をしていた店で知り合った仲間だったので、桜井は少しだけ仲間はずれの気分だった。
小柄で細身の桜井が、歩くにつれ、荷物の重たさを感じるようになってきたとき、前を歩いていた浅黄が少し歩みを遅め、彼の横に並んだ。
「飲み物が入ってるやつ、持ってやるよ。
一人で持つには重すぎだろ」
そう言うと、桜井から飲み物が入っている2袋を取って、再び、前を行く酒井のところに戻り、1袋を酒井に渡した。
桜井は慌てて、「ありがとう」と浅黄の背中に言うと、浅黄は少し顔を後ろに向けてうなずいた。
その様子を見た野口が桜井の横に来た。
「それ、持ってやるよ」
「いいよ。軽いから、俺持って行くよ」
「いいから貸せよ」
野口は奪うように、残りの1袋を持った。
それはお菓子や惣菜が入った軽い袋だったので、持ってもらわなくても全然かまわなかった。
桜井は、そんな野口がかっこ悪く思えた。
相田の家では、桜井は浅黄の隣に座れて幸せだった。
浅黄はみんなから、シェーカーを持ってこなかったことを責められた。
「なんでお前らに、ただでプロの技を見せてやらなきゃいけないんだよ」
浅黄がそう反論すると、同じくバーテンダーの酒井も浅黄の意見に賛成した。
「じゃあ、ハイボールぐらい作れ」
黒澤が自分のグラスを浅黄に渡した。
「仕方ねえな。それぐらいはやってやる」
そう言うと、グラスに氷を入れ、ウィスキーとソーダ水を注いだ後、割り箸でそっとかき混ぜた。
たったそれだけのことなのに、浅黄の手つきは優雅で、桜井は思わずうっとりと見つめてしまった。
「割り箸でかき混ぜんなよ」と言いながら、黒澤が受け取り、一口飲むと「やっぱり、うまいな」と言った。
桜井は、自分も酒が飲めたらと強く思った。
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