アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
白川さんのお父さん ①
-
浅黄が藍川とお茶を飲みながらキッチンで話をしていると、水野が何かを話したげに入ってきた。
もっとも、水野が何かを話したげなのは、いつものことだったが。
「白川さんのお父さんがね、どうやら浮気してるらしいのよ」
白川とは、綾倉の母のボランティア仲間で、50代半ばで年は離れているが、綾倉の母を慕って時々家に遊びに来る。
浅黄は顔を合わせたことはないが、水野の話にしばしば登場する。
その白川の父親が浮気しているということだが、これと言って証拠はない。
ただ、白川が実家に帰ったとき、お母さんがそう嘆いていたそうだ。
お父さんもお母さんも80代半ばで、お母さんはこの年になって裏切られるなんてと、かなりお怒りらしい。
毎週金曜日、お父さんは俳句教室に通っているのだが、その帰りに浮気相手と会ってるんじゃないかと疑っているのだ。
「だからねえ、この間うちに来た帰り際に、探偵でも雇って、その俳句教室の帰りを見張ってもらったらどうですかって言ったの。
でも、探偵は高そうだしって言うから、私が知り合いを紹介してあげましょうかって話したのよ」
「知り合いって、亀井さんのこと?」
藍川が少し心配そうに聞いた。
亀井はプロの探偵だし、この家の人たちが使っているくらいだから、安い金額で引き受けてくれるとは思えなかった。
「そう。亀ちゃんだったら、ただとは言わないけど、格安でやってくれるんじゃないかと思って」
「頼んだの?」
「頼んだけど、安くしてくれないって言うのよ。
値段聞いたら、びっくりするほど高くて」
浅黄は、亀井がやりたくなくて、高めの金額を言ったんだろうと想像したが、それは言わないでおいた。
「だから、困っちゃって。
私に任せてって言っちゃったけど、私は仕事があるから自分で調べたくても行けないし・・・」
そう言うと、浅黄の顔をじっと見た。
「何?」
「浅黄さんて、昼間、暇ですよねえ?」
「べつに、暇じゃないし・・・」
「だって、こんな風に家政婦とお茶飲んでおしゃべりしてるくらいですもの。
時間はありますよねえ」
水野は上半身を浅黄の方へググッと近づけた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
35 / 46