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白川さんのお父さん ②
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結局、金曜日、浅黄は俳句教室会場のビルの1階にあるコーヒーショップで、ターゲットである白川の父が出てくるのを待っていた。
藍川には「浅黄さんは強く押されると断れないんですね」と笑われた。
水野は「やさしいんですよね」と言ったが、実際はやさしさからではなく、あまりしつこいので、めんどくさくなって「やる」と言ってしまったのだ。
白川の父が、同年代の男性3人と女性一人の4人でエレベーターから降りてきたのを見て、浅黄は店を出た。
俳句教室から白川の父の家までは歩いて20分ほど。
大通りを10分ほど直進した後、右に曲がって、さらに10分ほど歩く。
建物を出るとすぐ、男性一人と女性は、反対の方向へと別れて行った。
そして、大通りを右に曲がる前に、バス停でもう一人とも別れた。
白川の父は、ゆっくりとしたペースで歩き、自宅に向かって大通りを右に曲がった。
そして、最初の交差点で、反対の通りにわたり、さらに直進し、大きな公園へと入っていった。
しばらく園内の散歩道を道なりに進んだ後、木陰のベンチに腰掛けた。
浅黄はベンチから少し離れた、後方の芝生に座った。
白川の父は、前の広場で遊ぶ園児たちをぼんやりと眺めていた。
しばらくすると、白川の父と同じくらいの年齢の女性が現れ、彼に声をかけながら隣に座った。
浅黄は立ち上がり、二人を前から見える位置にあるベンチに移動した。
二人は体を寄せ合って座っているわけではない。
だが、偶然会ったという雰囲気でもない。
楽し気に15分ほど話をした後、女性は立ち上がり、にこやかに去っていった。
白川の父は、女性の姿が見えなくなるまで見送った後、自宅へまっすぐに帰った。
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