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リクエスト15 バレンタインデー 1
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【本編398話、執筆後】
のの様よりリクエスト《バレンタイン》のお話です。
「学校で義理チョコを貰うのか⁉︎とか翼も義理チョコ渡すのか⁉︎とか気になってしまって…」
ということで。
学校、からの〜バレンタインの1日です。
本編との矛盾、2月はまだ編入前だろ!とか、体育祭は6月なのに、先日って何だ!とか、そのあたりの突っ込みはご容赦下さい^^;
本編とは完全に矛盾しておりますが、ご了承の上お楽しみ下さいw
とりあえずバレンタインに滑り込みセーフ、と思いましたが、やはり間に合わず^^;
5話、おまけ、は後日更新させていただきます。
本編が重い空気のため、こちらは思い切りコメディ路線で♡
よろしければお楽しみ下さい^ ^
5話から。
※R18ご注意を
ーーーーーーーーーーーーーーーー
その日、登校してきた学校の空気が、なんだかソワソワと落ち着かなかった。
なんだろ?
不思議に思いながらも向かった教室に、一歩足を踏み入れた時だった。
「おっはよー!つーちゃん」
「うわっ、リカ」
いきなりひょこっと目の前に現れたリカにぎょっと身を引く。
「うわって。うわって」
「あぁごめん」
だってびっくりさせるから…。
「まぁいいや。はい、これ」
「は?」
あげる、と押し付けられたのは、なにやら手のひらに収まるくらいの四角い箱で。
綺麗にラッピングされていることから、何かプレゼントだとは思うのだけど。
「なに?」
「えー?まぁ、つーちゃんには、あの超絶イケメンの彼氏さんがいることは分かっているんだけどさー」
「は?いや、だから、なに?」
朝っぱらから、一体何の話だ。
「受け取るくらいいいでしょ?あ、安心して。本命じゃないから」
「は?」
「義理、よりは少しは思いがこもっているけどね。大丈夫、あの彼氏さんから奪おうだなんて、身の程知らずなことは考えてないから」
ほら、もらった、もらった、と笑うリカに、ようやくその箱が何で、今日が何の日かに思い至った。
「もしかして、チョコ?」
「もしかしなくてもチョコでしょ」
ボケてんの?とケタケタ声を立てるリカに、苦笑が漏れてしまう。
「どうなの、それ」
「お返し期待してる」
「ぷっ、そういうこと?」
「そういえば受け取りやすいでしょ」
「策士だね」
「しっかりしてると言って」
にこっ、と笑うリカは、あまりにリカらしくて。
「ありがと」
「どーいたしまして」
「ぷっ、なんかそれ、変じゃない?」
「まぁまぁ。で、ものはついでなんだけど」
ごそっともう一つ、今度は俺のより、さらに小さな小箱を取り出して、リカが悪戯っぽく笑った。
「これはあの美形様に。渡して、お願い」
「美形様…って、真鍋さん?」
「そ!クールな美貌の彼」
「………」
空いてる片手にぐいっ、と無理矢理握らされる箱が、どうにもリカで。
「こっちは本命?」
「だったらいいな。でも残念」
「えー?」
「私は本命チョコを他人に渡してなんて頼みませーん」
べっ、と舌を出すリカの本音はよく分からなくて。
「ふふ、頼んだからね」
にこっと笑ってウインクして、リカはそのまま颯爽と去っていく。
「あ…」
どうしよう。頼まれてしまった…。
あの真鍋が果たして素直に受け取るか、と考えると、なんだかちょっと、手の中の小箱が重かった。
それからも、何個か義理チョコだ、というチョコを渡されては、朝のリカから受け取ってしまっているだけに、他のも断りにくくて受け取ってしまい。
中には本命だと、告白つきでもらってしまったチョコまであって。
答える前にみんな、体育祭での一件で答えは分かっています、と勝手に納得して去っていくため、断るにも断れず。
「はぁぁぁっ、なんか疲れた」
放課後、机の上に突っ伏した俺に、揶揄うような豊峰の声が掛かった。
「よっ、モテ男」
「藍くんっ?」
「それにしてもすごい量だな」
どっさりと、鞄から机から溢れているチョコの包みを笑われる。
「どうせほとんど義理の、マスコットにあげる感覚の贈り物だよー」
「でも本命も混ざってんだろ?なんか、男からももらってなかったか?」
この辺?と笑って取り上げられた包みは、一際気合いが入っていそうなもので。
「う。見てたの?」
「見てた、っつーか、見えたっつーか」
中庭から、と笑う豊峰は、昼寝の途中でばっちり見ていたらしくて。
「分かっているので返事はいりません!ってさぁ、チョコだけ押し付けて逃げられても…」
「ま、自己満足だわな」
お疲れサン、と笑う豊峰は、あまりに他人事で。
「そういう藍くんも」
いつもペシャンコの鞄が、今日は微妙に膨らんでいるんだけど?
「まぁ、ぼちぼちな」
「うふふ、そっちこそモテるんじゃん」
「はっ、誰のせいだよ」
「えー?」
『俺が丸くなったねぇ?』
チラリと意味ありげな視線を向けられ、呟かれた言葉はよく聞こえなくて。
「藍くん?」
「ま、いいや。翼も、もう帰るんだろ?」
「うん」
「じゃぁ外まで一緒に行こうぜ。帰りはどうせ、会長サンに本命チョコ、買って帰るんだろ?」
「え?」
え?
えぇっ?
「なにその反応」
「い、いや…」
そんなこと、考えもしなかったよー。
「どう考えても、翼のチョコ、待ってるだろ、あの人」
「そ、そうかな」
「やらなきゃ拗ねそー」
「拗ねっ…?」
あー、なんかそれは眼に浮かぶ。
「それでなくても…」
ニヤッ、と意地悪く笑う豊峰の視線は、何故か俺に向いていて。
「え?」
「いやぁ、おまえも大変だなー、と思って」
「え?え?何が…」
「明日も平日だからな」
ポン、と肩を叩かれた意味は分からず、鼻歌を歌っている豊峰が気持ち悪い。
「藍くん?」
「ほら。帰るぞー、翼」
わけのわからない言葉を残して、豊峰はスタスタと教室を出て行ってしまう。
「ちょっ、藍くんっ、待って」
慌てて後を追いながら、俺は登校時より確実に重くなった鞄やサイドバックを、何度も抱え直す羽目になった。
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