アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
【風邪2】
-
「える〜!…ありゃ?」
えるがいない...
ブブッ...ブブッ...
(あっ、LINE...)
〈俺〉
〈今〉
〈玄関なう〉
....いら。
〈おいww〉
〈伝えんの遅いわwww〉
〈だって母上から電話かかってきたし〉
〈多分電車も間に合わないだろうし車で帰るぞ。〉
〜〜〜っ!
…まぁ、いっか。
空き教室に背を向け、玄関へとUターンする。廊下でのスマホは使用禁止なため既読をつけてしまったが返事は返さず先を急いだ。
玄関先でえるがスマホをいじってるのが見える。手にはいつものお弁当2つ分。
なんだか愛妻弁当?そんなこと言ったら殴られそうだけど密かに思ってる...えへへ(笑)
目が合った瞬間急いで手を振る僕を笑いながら振り返してくれるえる。うん、やっぱり優しい...!
「えるぅー…「おーい、せき。」...ん?」
えるのところに行こうと思ったら声をかけられた。
「あっ、しおん!」
「よっw」
声の主はしおん。唯一幼稚園から高校まで一緒だった僕の幼馴染だ。
「なぁ聞いてくれよ〜、現文まじやばくてさぁ...」
「えぇ〜?朝一緒にやったじゃんw」
「朝だけで高得点取れるわけないだろ?」
「あははw僕現文なら出来たよ!英語は...ちょっとアレだけど、、」
「はぁ?英語こそ簡単だろーがよぉw」
得意げな顔して僕を見下ろすしおん。
身長も高いが故にいつも見下ろされてる気分だ。本人はそんなつもりないんだろうけど。
「それよりさぁ...w
ぐいっ!
っ!?」
不意にリュックを引っ張られて重心が後ろへ行く感覚に言葉が詰まった。
多分これは、、、
「おい、せき。」
「なに?える」
ほらやっぱり。えるってば怒ってる...車が来るまでは僕に声すらかけられなかったのに...うぷぷ(笑)
「車きたから帰るぞ。」
「はーぁーい(笑)」
「何笑ってんだバカ殴るぞ。」
「いや怖すぎww」
しおんに手を振った僕はえるのお母さんの車に一緒に乗り、えるの家まで行った。
その間僕のリュックに付いてる食パンキーホルダーの話で盛り上がった。
「その食パンに顔描いていい?」
「いいわけないだろwww」
「それ裏見たらカビてんじゃね?」
「本物つけるほどバカじゃねーわ。」
えるのお母さんも笑ってた。
家に付いたらいつもの一言。
「お、おじゃましまーす..」
「おじゃまされまーす。」
毎回吃る僕と言い方の悪いえる。
まぁ恒例すぎてお互い気にもとめないけど。
「まぁ座れよ。」
「うん...」
...あちぃ。
「窓開けるか?」
「あれっ!?声に出てた?」
「そのヒロインみたいなノリやめろきもい。」
「んひぃぃぃぃwww」
酷い。…窓開けてくれたけど。
「うちわある〜?」
「おそ松さんショップで貰ったやつならある。」
「それくれやぁ。」
ふぅ、涼しい。
うちわと窓から吹く風邪で丁度いい温度だった。
「お腹減った。」
「いや、食えよ。」
「えるなんかしてんじゃん。待ってんの。」
「はぁ?変なやつだな。」
「いや、作った本人より先に食べるってバカかよ。」
別に気にしないけどなぁと椅子に座るえる。気にするしないの問題じゃなくて僕が一緒に食べたいの!何でわかんないかなぁ!
テーブルを挟んで向かい側に座った僕らは手を合わせお弁当を開けた。
「今日は…うどん?」
「うん...あっ、ちょっとタレ零れてる...」
僕は漏れてるタレを濡れティッシュで拭くえるを見ながら手元の備え付けのタレを見てた。
「これ…右はゴマだれ、、隣は何?」
「辛いの。」
「うげへぇ!俺辛いの苦手って知ってるよなぁ!?」
「うん。」
「タチ悪ッッ!!」
「嘘。本当は梅ダレ。」
「何それ。」
美味いよ、と僕のうどんの上にぶっかけてきた。
「ちょっ!あっ!トマトがぁ..!」
うどんの端にあったトマトに大量にかかってしまった。せきはトマトが大好きなのである。それも生で食べるトマトが特に。
「ねーえー!!!」
「ふははw食べてみろって」
「んぐぅ!?」
こんなアグレッシブなあーん♡あります!?
…。
美味しいけど!!!!
「なんだこれwwめっちゃ美味しいなぁwww」
「だろwww」
あまりの美味しさに笑いが止まんないww
梅とトマトってあんなに合うんだ...
「そーいやさぁ」
「んぅ?((ズルズル」
「なんで今日うどんだと思う?」
「んぇ?んー…ふろんのひははら?((ズルズル」
「食ってから言え。」
「...チュルン。んと、うどんの日だから?」
「違う。テキトーすぎんだろ。」
「うどんが安かったから!」
「違う。」
「うどんが食べたかった!」
「違う。」
「んえぇ〜?何?」
「正解は…特に意味は無い。」
やられた...!めっちゃ悔しい...!いや、うどんは美味しいけど!!
「あ、お前何時に帰るんだ?」
お昼ご飯を食べ終えた僕らは部屋でぼーっとしていた。
「えっ…と、、」
次の電車で妥当なのは今から20分後のやつだ。
でも…でも…
「帰りたくない...」
「いや、帰れよ病人。((ズバッ」
うぅ、心配してくれてるのは分かるけど酷い...。こーなったら次の電車行くまで粘ってやる!!
「えるぅ...俺どーしても帰りたくない...」
「じゃあ目ぇつぶれ。」
「へっ!?」
目!?あまりの予想外な返答に困る僕をよそに、えるは目ぇつぶんないと殴ると言ってきた。
「ひっ、はい!」
...え、ちゅー?((ドキドキ
なんてちょっとでも期待した僕が馬鹿だった。
するっ...
「ひゃん!?」
続きを話す前に少し話しておきたいことがある。人にはそれぞれ性感帯と言うのがあるんだ。普通の人は触られても何ら感じない場所でも自分だけは感じてしまう...的なやつだ、うん。(上手く説明出来ないけど。)
そして僕…せきは髪がそうなのだ。
幼い頃からお母さんに髪を撫で続けられた結果、人に髪を触られると感じてしまうのだ。自分は男である故、あまり髪の毛を撫でられることはないので普段は大丈夫なのだが...
タチの悪いことにそのことをえるは知ってるのだ。
…まぁ、そんなどこぞのAVでもないので声が漏れる、などの心配はないのだが背中がぞくぞくしてこそばゆくなるし、腰が持たないので正直やめてほしい。
そんな僕に気付いてか知らずかえるは上機嫌に髪で遊んでいる。感覚的に多分ヘアピンでも付けてるのだろう。男子にしては長いほうだもんなぁ、僕...。
ちょこっとは結えるぐらいの髪。そーだなぁ、ショートカットの女子よりはあると思うな。
でもそんな長いほどでもないぞ?あくまで男子の中で、ってだけだからな!校則はちゃんと守ってるし!
「…ほい、出来た。」
なんて自問自答をしていたらいつの間にか終わっていたらしい。
鏡を渡しながらもう目を開けていいぞと言う。
見てみると脇の前髪と横髪がピンで止まっていた。
「日曜日それでこいよ(笑)」
笑って言うえるに不覚にもキュンとしてしまった。
「...俺不器用だから明日もえるやってよ。」
「えぇー?…んー、まぁいいけど(笑)」
…また触ってもらえるんだ。
僕はニヤける顔を隠すためヘアピンを乱雑に取り、机に顔を突っ伏してそのまま寝ることにした。
「寝るなら横になれよ」
「嫌だ」
寝顔見られるとか死ぬし。(乙女的思考)
座ったままうとうとしてたら、えるが急に後ろから抱きついてきた。
「!?」
びっくりしたわりにはすぐに離れてしまったえる。
…?何がしたかったんだ??
「とゆーか俺、抱きつくなら前がいいんだけど。」
後ろを振り向き、バッと両手を前にしてアピールしたが無視されそのまま部屋を出ていったえる。
心做しかショックを受ける自分。。いや分かってましたけどね?(泣)
再度戻ってきたえるの手には何やら冷えピタだのコップだのを持っていた。
「何そr...「寝ろ。」...へ?」
コップを置いたえるは僕をベットに無理矢理寝かせ、冷えピタを貼った。
「!冷た...っ!」
「気持ちいいだろ?」
「!」
あぁもう、やめてよ...そんなかっこいい顔して笑わないで。そんな言葉言わないで。また顔赤くなっちゃうじゃん...
「お前気付いてないだろーけどな、熱あんだろ?いつもより熱いしな。」
…へ?熱??僕熱あったの??
あぁ、だからこんなにも熱かったのか...気温と気持ちのせいだと思ってた、、。
「夕飯前までここにいていいから寝ろよ。」
「..うん。...あのさぁ、僕...早く帰った方がよかった...?」
「そんなわけないだろ」
いつもより優しく聞こえたえるの声。
「ん、ありがとぉ...」
僕の意識はここからない。
(続きます)
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
5 / 35