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贅の限界値 2
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皿の上にはレタスが一枚置かれ、
お湯のようなスープが一杯。
精進料理のような夕食に、
硝子はじっとそれを見つめて考えていた。
自分にはこちらの方がきっと合っている。
「真姫ちゃんもうすぐテストじゃないの?」
「うん。でも全然余裕だしぃ」
「そうねあなたが悪い点をとったことはないものね!
それに比べて硝子は....」
硝子は、硝子は、硝子は。
母親は二人の子供と比べて硝子を詰る。
それを黙って聞きながら、レタスを押し込めてスープを飲み干した。
環先生は、おしゃれな名前だと言って
赤川さんは毎回、綺麗な字だと褒めてくれる。
いずみくんは、いずみくんは.....。
そんな風に、褒められてしまったからなのだろうか。
今、すごく、心が痛い。
「......っ」
硝子は席を立ち、
食器を洗ってしまうと部屋へと引っ込んだ。
暗い部屋に中にいると母親の声とみんなの声が交互に再生される。
悪いのは自分で、母が言っていることも正しくて
だけれどそれはみんなの言ってくれたことを覆してしまう。
みんな正しくて、優しくて
それなのに....。
硝子は抱えきれない気持ちにとうとう、泣いた。
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