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贅の限界値 9
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「食べさせ..いや、でも、いや...しかし..」
恭介は何やらぶつぶつ呟いているが
結局湯気が立ち上る茶碗を手に取りスプーンで一口掬った。
ふうふうと息を吹きかけ冷ましている。
「...では、失礼して...」
彼は神妙な顔でそう言い、
スプーンの先をこちらに向けてきた。
硝子は意味がわからず小首を傾げる。
「口開けてください」
「え..っと...?」
彼の言葉に意味がわからないまま硝子は口を開いた。
恭介にスプーンを口へと突っ込まれ
思わずびっくりして避けそうになったが、食べさせてくれる、ということがわかり
その暖かくて柔らかいものを口の中に移した。
お米の味、そして少し塩が効いて、身体に染み渡るような。
暖かいものを食べたのはいつ以来だろう。
「た...食べれそう?」
恭介は何故か息切れしながらも聞いてくる。
また泣いてしまいそうで、
硝子は何も言えず俯いたまま頷いた。
よかった。
彼はそう言って笑った。
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