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扉の向こうから声がする。
「なぁ、俺と番になってよ。運命だと思うんだ。」
「ご、ごめんなさい…。」
「えー?何で?いいじゃん。運命だよ。絶対。」
運命だ。とか自分の都合のいいことを言って番になろうとする。
「む、無理です!」
綾人の目の前を全力疾走して逃げていった。
「ちっ…ダメか…」
社会に出てしまうと番になってないΩは少ない。だから、αは早く番を作りたがる。
(好きでもないのに番になってその人のことをちゃんと愛せるのかよ。)
何故かイライラし始め、早歩きで優のところに向かった。
◆ ◆ ◆
「綾人!早く帰ろう。」
「わかってる。」
再検査まであと、二ヶ月もある。
日に日にΩのような匂いが強くなっていると優に言われる。
実感はない。不安な綾人は常に抑制剤を持ち歩くことにした。
「ねぇ、もし次の再検査がΩだったら一緒に住むのは辞めよう。俺はα。綾人はΩ。もし、綾人に発情期が来たら俺は自我を保てない。きっと綾人を犯しちゃう。だから」
「そんなの…そんなの勝手に決めるなよ!何で?薬飲めば大丈夫なんだろ?!」
「そうなんだけど、薬が効きにくい人だっているんだ。もし、綾人が効きにくかったら完全にフェロモンを抑えることは出来ない!そんな時に綾人を犯したら孕んじゃうんだよ?!分かってるの?!」
優に肩を掴まれながら言われ、綾人は我に返った。
(何で?何でイライラしてる。なんで冷静な俺じゃない。)
「悪かった…。そうだよな…優に迷惑かかるよな…。」
少し斜め下を向きながらゆっくりと歩き出した。やっと楽しい、幸せな生活を送れると思ったのに、そんなことは無かった。
(俺は幸せになれないのか…。)
流れ落ちそうになる涙を堪えながら綾人は歩き続けた。
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