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「優」
「どうしたの?」
久しぶりに名前を呼ばれた気がした。
「何でそこまで俺のためにするんだ。大丈夫だから。ほっておいてくれ…」
「何言ってんの?ほっておけるわけないじゃん。今までだって、綾人が泣いてる時も、綾人が落ち込んでる時も、いつもいつも綾人の事考えてた。喧嘩してる時なんて綾人が悪いはずなのに、変に心配して俺から謝っちゃったりとか…そんな俺が綾人のこと放っておけるわけない。」
綾人は泣いていた。
最近の綾人はよく泣く。それほど精神的に不安定なのだろう。
「だって…おれ、優に迷惑かけたくない…Ωがだって分かって、発情期が来た時…おれ、いつも優に迷惑かけてて…辛い思いさせてて…それなのに、また迷惑かけて…だから…」
「迷惑かけてない。てか、いつもいつも一人で抱え込もうとするじゃん。そんなに俺は頼れない?」
綾人は首を振った。
「じゃあ、もっと迷惑かけて、もっと頼って。迷惑だなんて思わないから。」
「うん…あり、がとう…」
そっと抱きしめた。
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