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涙を拭ってハッと思い出した。
「あれ、先輩は…?」
「そこで寝てる。」
刺された指の先には、敷布団に寝ている小宮がいた。
顔にはいくつか傷があり、痛々しかった。
「大丈夫。体中痛いだろうけど、骨とかは折れてない。見た感じだけどね。」
「本当に…?」
「本当だよ。」
優じゃない声が聞こえ、小宮の目がうっすらと開いた。
「大丈夫。どこも折れてないし、体もそんなに痛くない。…っ、ほら。座れるくらいなら出来るよ。痛いのはお尻ぐらいかな。」
綾人を安心させるためか、笑いながら話している。
そんな小宮を見ているのが辛かった。
自分の行いで辛い思いをさせたのに、また更に辛い思いをさせている。
「というか、デレデレだね。いつもは冷たい感じなのに、優君にそんなにくっついちゃって…甘えてるし…あー、無理だなぁ…」
少し声が震えていた。
「だから言ったじゃないですか。諦めてくださいって。なのに先輩、諦めないし…」
「好きな人、そう簡単に諦められるわけないでしょ。好きになった理由は正直わからないけど、気づけば目で追ってるし、そばに居たい、少しだけでもいいから話したい、その人の隣に立ちたいって思うのが普通じゃない?まぁ、ちょっとしつこかったかもしれないけど…」
「まぁ、普通はそうですね。」
優もそう思ってるの?と考えると少し頬が赤くなった。
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