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81 綾人
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あの時の恐怖心がまだ少し残っている中、綾人はひとり、懐かしい道を歩いていた。
まだ昼間だというのに酔っ払いがいる。
金髪に着崩したスーツを着た男、露出の高い服に濃いメイクをした女。すれ違うたびに香水くさくて鼻がおかしくなりそうだ。
ポイ捨てされたゴミ、明かりの灯っていない看板。
確かここを曲がれば…。
「いてぇなぁ…どこ見て…ん?綾人じゃねぇか!」
「え、先輩…?!」
ぶつかったのは、昔バイトで働いていた先輩。
バイトと言ってもΩばかりの風俗店だが…。
「仕事ですか?」
「んぁ?ちげーよ。今はもうやってねぇよ。お前いなくなったあとに色々あってやめた。」
前よりも少し柔らかくなった雰囲気に綾人は気づいた。
いや、それだけじゃない。項にある噛み跡も。
「んだよ。ジロジロ見やがって…。そんなに久しぶりに会えて嬉しいのか?」
「違います。別に会っても会わなくても嬉しくないです。」
「はぁ?ったく、無愛想だな…。てか、まだ番になってなかったんだな。」
そう言われて項を手で覆う。
番になることに綾人は不安があった。
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