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階段
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「何でいるの?」
「夏樹が居たから」
僕がいたからって、保健室に誰か来てたらどうするんだろ。
結構寝ちゃった気がする。ズボンのポケットからスマホを出して、時間を見る。
「もう放課後じゃん...早く帰ろ」
「下で待ってて?」
「あ、わかった。愁くん仕事は?」
「心配すんな。ちゃんと片付けてるから」
そう言って立ち去る愁くんの背中を翔くんと見つめる。
翔くん今何考えてるんだろ。翔くんの気持ちが知りたい。
急に雨が降ってきた。僕と翔くんの服はズブズブに濡れている。これで、学校の中に入るのも...何て考えたけど、結局すぐ帰るからいいやとか思ったり。
ずっと、雨に打たれてる翔くんを見て、心配になる。
「翔くん...濡れる」
僕は、迷わず翔くんの手を引いて抱きしめる。
何でそうしてしまったかは、わからないけど、別にいいやって。
僕の方が体温が高いくて、翔くんから伝わる温度が冷たく感じる。
しばらく、そうしてた。はっと思い出して、翔くんを離す。
「気を付けてね」
そう言って、階段を駆け下りる。愁くんの待ってる車が見える。完璧に忘れてた...雨で湿ってきた階段で滑らないように走る。
教室に鞄置いてるんだった...1階まで降りたのにまた、2階まで上がらないといけないのか…
2階まで上がってから、角を曲がると俊がいた。僕の鞄を持ってきてくれたみたい
「夏樹鞄持ってきたぞ。じゃあな」
「ありがと、俊。バイバイ」
俊は秋くんかそこら辺の人と用事があるみたいで、また教室に戻っていった。何か、悪い事しちゃったな...
また、はっと思い出して外の車を見る。まだ待ってくれているようで、早く行かなくちゃって気持ちが焦る。
運悪く、足を踏み外す。今日は、付いてないなぁ何て考えながら、目をつぶった。
でも、来ると思った痛みは来ずに、暖かい体温に包まれたような感じになる。
「えっ...?翔くん......翔くん!!」
目の前には、僕を庇ってくれたであろう翔くんが、倒れている。慌てて、スマホを出すけど、手が滑ってしまう。
救急車が来たのは、それから10分後だった。目を覚ましてって、お願いしながら、ずっと手を握る。
「翔くん...めぇ覚ましてよ...」
涙が溢れる。病院についてから、いろんな検査をした。異常はないみたい。
でも、目を覚ましてからショックを受けているかもしれないから、どうなるかわからないって言われた。
僕のせいだ...ごめん。何度も謝るけど、届くわけないって寂しくなる。
「早く、一緒に帰ろうよ…」
病室に響いた声は、機械音によって掻き消される。
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