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ドキドキしている神崎くん
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あの1件以来、俺は神城に声を掛けづらくなった。
自業自得なのは分かっているが、神城を見るとついつい避けてしまう。
「おはよ神崎!」
「うぉっ!!」
神城を見つけるために集中していた精神が一気に飛ぶ。
篠山に声をかけられてここまでびっくりしたのは今日が初めてくらいだろう。
「うへっ、、、なんだよ驚き過ぎだろ。」
思わず変な声が出ている篠山を軽くスルーして2人で教室に向かう。
途中で神城を見つける。
自分から避けているくせに彼を目で追う自分がいる。
実は今朝も校門近くで見かけたのだが、声はかけられなかった。
「……。」
神城は静かに誰かのあとについて歩いていった。
「なぁ、聞いてるん?」
篠山の声に内心驚きながら、うん聞いてると返す。
あいつの姿を見つける度に俺の心臓は早くなる。
うるさいくらい鳴る。
あいつのことを考えていても鳴る。
ドキドキして、他の人といるところを見るとイライラする。
「篠山…。」
「ん?」
「胸が苦しい……。」
「は?」
篠山は俺の方を向く。
胸の近くの服を握る。
ドキドキがズキズキに変わる。
痛い、苦しい。
「お、おい!神崎!」
足がもつれてふらつく。
篠山が俺を支えてくれる。
俺は胸を抑える。
「…っはっ……。」
「神崎?」
心臓が張り裂けそうだ。
俺はどうしたらいい?
「大丈夫か?」
一生懸命息を整える。
言えない。
男に欲情しているなんて、言えない。
神城を抱きたいと思っているなんて言えない。
俺は篠山から離れる。
「あ、そうだ。俺、忘れ物思い出した!ひとりで行ける?」
篠山が俺の顔を覗き込んで聞く。
「大丈夫。」
「気ぃつけてな。」
「うん。」
篠山が離れて内心ホッとした。
知られちゃいけない気がしてならないのだ。
このよくわからない感情は他人に知られてはいけない。
「…っ……。」
俺…風邪でもひいたんかな……。
胸の事に気を取られ前を見ていなかった。
自分の体に何かが当たったような衝撃が走る。
「わっっ!」
俺よりも少し背の低い生徒がふらつく。
「あ、ぶない…。」
咄嗟に俺はそいつの腕を引き寄せる。
怪我されちゃ困る。
背中を怪我してるせいで運ぶことが出来ない。
「あ、ありがとう…神崎。」
同じ2年のネクタイピンをしている彼はお礼と共に俺の名前を言う。
知り合いだったのか…。
俺はその生徒に見覚えがあった。
高校では同じクラスになってはいないが中学の時同じクラスで1度だけ話したことのある人だった。
「世良か、悪いな。俺も前を見ていなかった。」
ほんわかした笑顔を俺に向け首を振るとはっ!と何かを思い出したような顔になる。
「そうだ、神崎…神城見てない?」
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