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逃げられない神城くん
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1週間前、神崎くんが僕にキスをした。
舌を絡める大人なキス。
何度も嫌だと言ったけど、本当は嫌じゃなかった。
ただ、怖かっただけで。
「か、んざ……。」
朝、神崎くんを見かけた。
珍しいくらい早い登校に僕はびっくりしていた。
神崎くんは意外と時間にルーズで登校は結構ギリギリだと聞いていたから。
でも、僕は声をかけられなかった。
「なぁ、聞いてるん?」
小さく頷く神崎くん。
隣にいたのは僕の知らない人。
きっと同じクラスなんだろう。
とても仲が良くてスキンシップも多い。
ズキッ
僕は、近くに行けない自分を責めた。
この胸の痛みも知ってる。
僕は嫉妬しているんだ。
「おい、何見てんだ。早く来い。」
「…は、はい。」
ずっとずっと見ていた。
あの頃から神崎くんだけを追いかけてきた。
いつか想いを伝えたい。
でも、僕も神崎くんも男だ。
絶対叶うはずのない恋を僕はしているんだ。
「早くしろ。大きな声出したらただじゃおかねぇ。」
「あ、の…何するんですか?」
人気の少ない旧校舎。
もう腐っている木で支えていて、今にも崩れそうで怖い。
A組の海堂くんとは今日初めて知り合った。
海堂くんがついてこいと言うのでついてきたのだ。
本来なら断るべきなんだろうけど、怖くて言えなかった。
「何って、決まってんだろ?」
僕は扉の空いていた教室に投げ入れられる。
「…っあ…。」
床にぶつけた腕が痛い。
海堂くんは倒れている僕の手首を縄で縛る。
「や、だ!離して!!い、や!」
「大人しくしろよ。抵抗するなら燃やすぞ。」
海堂くんはそう言ってライターの火をつける。
「この校舎は古いからな。ライターの火で簡単に燃えるだろ。」
「わ、かった……大人しくする…から…。」
僕の頬に涙が伝う。
自分でもわかる。
恐怖で涙が止まらないことに。
「はじめからそうすればいいんだよ。」
不敵な笑みを浮かべたこの人を僕は心の底から怖いと思った。
海堂くんは小さな小瓶を開けて僕の上に馬乗りになり、口元へその小瓶を近づけてくる。
僕は口をぎゅっと結ぶ。
「あけろ。」
海堂くんは笑わない。
目が据わっている。
僕は怖くて少しだけ口を開ける。
「お利口さんだね。」
そう言って僕の小さく開いた口に小瓶の中の液体を流し込む。
急すぎて吐きそうになるが、海堂くんが僕の口を押える。
「ほら、飲んで。」
僕は従う。
従わなければきっとこの人はこの校舎に火をつけるだろう。
その狂気じみた目が本気だと言っていた。
「いい子。じゃあ御褒美だよ。」
僕は海堂くんに言われるがままだった。
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