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助けてくれたのは神崎くん
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僕の急かすような態度に気づいたのか、それとも教室内の異変に気づいたのかはわからないが神崎くんも火がすぐそばまできていることに焦りを覚えたらしい。
「…これ、かけとけ。」
神崎くんはさっき脱いだワイシャツを僕の上に雑にかける。
僕はそこで自分が半裸だったことを思い出す。
イキ顔を見られてしまったのと自分の今の状態に恥ずかしさがこみ上げ顔が熱くなる。
「…くっそ!」
神崎くんの声にはっと我に返る。
いつの間にか校舎の柱に移った火は古い木を食っていく。
神崎くんが入ってきたドアは炎の輪のようになっていた。
「…行くしかないか……。」
神崎くんは僕をぎゅっと抱き締めた。
その手は少しだけ震えていた。
神崎くんはドアに背を向ける。
「な、に…を。」
僕の声を聞き入れる前に神崎くんは後ろを向いたままドアに向かう。
「なるべく小さくなっておけ。」
早足で火が完全に回る前にそこを通るつもりらしい。
後ろを向いたのはきっと、僕を気遣っていたから。
言われた通り僕は彼のシャツを握りしめ、足をしまい小さくなる。
「……通るぞ。」
小さな声で呟き一気に速度を早める神崎くん。
無事に切り抜けられるように祈る。
「…っつ!!」
通る瞬間僕は目をぎゅっと強く瞑った。
「…って…。」
彼の声が聞こえ、僕は目を開ける。
神崎くんの顔を見るべく上を見る。
彼の頬には火傷のあとがついていた。
「神崎くん…。」
ほとんど出なくなった声を出し僕は彼の頬に触れる。
「…いって……。」
痛々しく腫れたそれはドアに当たって出来たのだとわかる。
傷跡が線のようになっていたからだ。
「神崎く、ん…」
「お前の足を傷物にするわけにはいかないからな……って…。」
神崎くんは痛みに顔を歪めながらぎゅっと僕を抱え直す。
「まだ燃えてるのはここだけだから、昇降口からは出られる。掴まっとけ。」
僕は彼にしがみつく。
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