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泣いた神崎くん
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「…うっ…。」
目を開けると白い天井が見えた。
コーヒーの匂いに優しげな柔らかい声。
「大丈夫ですか?」
僕の顔を覗き込む黒髪メガネの先生。
白衣を着たそこ先生がすぐにここの主だとわかる。
僕は上半身を起こす。
「甘いものはお好きですか?」
そう言いながら黒咲先生は僕に小さな金平糖を3つくれた。
「あ、ありがとうございます。」
「酷い声ですね。」
「…っ…。」
「何があったんですか?」
「…。」
メガネの奥で優しく微笑む黒咲先生の瞳。
無口で有名な先生は保健室ではよく喋るようだ。
「…言えないのなら無理にとは言いません。ですが、あなたのお友達があんなに必死に助けに行ったんです。それに、助けに駆けつけた時のあなたの格好は目を逸らしたくなるくらいでした。」
「……。」
言ってもいいのだろうか。
でも僕は、自分が犯されかけたなんて恥ずかしくて言えないのだ。
あの時も。今も。
「ホットミルクでも飲みますか?」
そう言って黒咲先生は僕の頭を撫でる。
その行動に僕は神崎くんを思い出して張り詰めていた気持ちが流れ出す。
「…ヒック…うっ、あ、、、うっ…グスッ…。」
僕の目からポロポロと涙が零れる。
僕、泣いてばっかだ…。
「…辛かったですね。」
先生は僕の1番欲しかった言葉をくれた。
涙がこみあげてくるのがわかる。
「ここには君と僕しかいませんから。」
黒咲先生の精一杯の優しさだった。
僕は先生の白衣にしがみつき、あんなに泣いたのに枯れていなかった涙をボロボロと零す。
「こ、わ…かっ、、、ヒック……こわ、か、た……!」
怖かった。
体を触られる事が。
イク事が。
自分の体じゃなくなってしまう感覚が。
海堂くんの笑顔が。
神崎くんの本気の怒りが。
全部が怖かった。
「よしよし。えらかったね。」
先生の言葉の意味はわからなかった。
けど、僕の胸は優しい言葉をかけられるたびにぎゅっと縮まり鼻の先がツンとした。
「ぅえ……っう…っく…うっ、うぇぇぇぇっ…。」
子供みたいに声を上げて僕は泣いた。
先生は背中をトントンしてくれたり、頭を撫でて僕を慰めてくれた。
「甘いものを食べて落ち着きましょう。」
先生は金平糖を僕の口に入れる。
その甘さにほっとして、また涙がこぼれる。
「美味しいですか?」
「…っん……は、ぃ……ぉ、い…しぃ、れす……っん…。」
しゃくり上げながら答える僕。
先生は僕が泣き止むまでずっと側にいてくれた。
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