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泣いた神崎くん
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「…はぁ……。」
「落ち着きましたか?」
黒咲先生がホットミルクを僕に手渡しながら聞く。
「はい。ありがとうございました。」
「いえいえ。」
柔らかく笑う先生は本当に嬉しそうだった。
僕は旧校舎で起こったことを全て話した。
海堂くんに犯されそうになったこと。
変な薬を飲まされて挿入の一歩手前までさせられたこと。
神崎くんが助けに来てくれたこと。
ライターで火をつけられガソリンをまかれたこと。
神崎くんがずっと自分を守ってくれたこと。
先生は静かに僕の話を聞いてくれた。
時々、うん、とか、ん、とか相づちをしてくれた。
「君は、いい友達を持ちましたね。」
先生が静かに言う。
僕は神崎くんがどうなったのか聞いた。
「彼はですね…。」
先生は1度目を閉じてゆっくりを開け僕を見た。
「彼は、火傷を負って救急車で運ばれました。」
「や、けど…。」
僕が見ていた時は大丈夫そうに見えた。
大丈夫だと笑っていた。
「はい。背中も打ったみたいでした。白いシャツが血だらけでしたし、火傷も本人は電話で軽いと言ったと梅田先生は言っていましたが、皮膚がただれてめくれるくらいには重症です。」
「皮膚が……。」
「君には何も言いませんでしたか?」
先生は僕の瞳を真っ直ぐ見て言う。
「僕には何も言いませんでした。ただ、ひたすら優しく僕は寝てていいと。」
「そうですか。」
先生は微笑んだ。
僕はその微笑みの意味がわからなかった。
僕の手を握り、先生は今は休みなさいと言った。
「いろいろ気にしていても仕方ありません。今はしっかり休んでください。」
僕はそれに従った。
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