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泣いた神崎くん
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「…っはぁ、はっ、はぁ…。」
走ったのか荒い呼吸を整えながら部屋に入ってくる。
目線を下に落としている彼の目の中には長い睫毛が影になっている。
苦しそうに息をする彼に僕は思わす声をかけた。
「神崎くん、、、大丈夫?」
「…っは……はぁ、、、無事…か?」
僕の質問は答えが返ってくるどころか質問で返されてしまった。
よく見ると神崎くんの頬は赤い。
無理をしたのか汗が滴っている。
「うん…おかげさまで。」
僕の言葉を聞いた神崎くんはその場に崩れ落ちる。
「神崎くん!!」
流石に僕もベッドから飛び降り彼の側にしゃがむ。
額に手を当てると手にはじんわりと熱めの熱を感じた。
「神崎くん、熱あるよ!?」
「ん"っ。はぁ、、、っは……だ、大丈夫。」
彼は時々喉を鳴らしながら大丈夫大丈夫と呟く。
明らかに大丈夫に見えないそのふらつきに僕は彼の手を握る。
「大丈夫じゃないよ…横になった方がいい。」
握り返してきた手には力がなく、小さく震えていた。
まるで何かに必死に耐えているような。
「とにかく座ろ?」
「…っはぁ…うっ、はぁ、はぁ…。」
何も言わない神崎くんの手を引いてベッドに座らせる。
「げほげほっ、げほっ…はぁ、はぁ…。」
急に咳き込む彼に何も出来ず僕は背中を摩る。
下を向いている彼を覗き込むと、眉間にしわを寄せぎゅっと目をつぶり、唇を固く結んでいた。
僕はこの表情を知っていた。
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