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二重人格の神崎くん
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「どうして…。」
僕は神崎くんを突き飛ばしてしまった。
本当は嬉しいはずのキス。
なのに、僕は嫌われるのが怖くて自分の声を伝えられずに大好きな人を拒否してしまった。
またやってしまった。
素直に好きだと伝えればこんなことにならないのに。
神崎くんに突き飛ばされた時に打った場所よりも胸が、心がズキズキと痛み出す。
「ど、う、し、て」
神崎くんの目から一筋の涙が頬を伝った。
その瞬間、神崎くんはベッドに崩れる。
「神崎くん!」
僕が駆け寄った時にはもう遅かった。
手を振り払われ冷ややかな目で睨まれる。
神崎くんが神崎くんじゃないみたいだ。
いつしか世良くんが話してくれた神崎くんの過去のことを思い出した。
ずっと頭に引っかかったままになっていた二重人格というワード。
もし、彼が僕を突き放した理由が僕に受け入れられなかったからだとしたら。
もし、彼も僕が好きで僕が拒否したからああなったとしたら。
「神崎くん!!!」
とめなくちゃ。
僕が、彼をとめなくちゃ。
僕は静かに保健室を出ていった神崎くんを必死で追いかけた。
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