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「………なんか…噂が流されてるって聞いたんだけど…」
俺がそう切り出すと、彼はあからさまにビクッと肩を震わせた。
「あ……はい……1年の佐藤真昼という生徒が由良様と付き合っていると言い触らしていると1年の隊員達から報告を受けまして……」
今にも泣き出しそうな声色で恐る恐る話し出した御琴。
綺麗なぷっくりとした唇を噛み締め、泣き出しそうになるのを我慢している彼の頭をまたポンポンと叩いた。
触り心地の良い猫毛の髪は彼の可愛らしい容姿にとてもよく似合っていた。
「まあ……今回は、俺が悪いと思う。……けど、噂は嘘だから。全くの嘘」
はっきりとそう告げると、御琴は勿論、周りで聞き耳を立てていた人達もホッとしたような表情をしていた。
「……本当だと思った?」
「いえ…!嘘だろうなと思いました……けど、本当だったらと思うと…胸が苦しくなってしまって……。…すみません、僕は親衛隊隊長という立場なのに……」
御琴は、中等部の頃から俺の親衛隊長をしてくれていて俺は彼を全面的に信用している。
それは恋愛感情のものとは違うが、少なくとも信頼を寄せる数少ない内の1人だ。
予想外とは云え、そんな彼を不安にさせてしまった自分自身の浅はかな行動は反省しなくてはいけない。
「…心配かけて…ごめんね。これからはもう少し気を付けるから……悪いんだけど、他の親衛隊の皆にも」伝えておいてもらえる?」
「はい…勿論です。直ぐにでも伝える様にします」
「ありがとう御琴」
彼に御礼を告げると彼は深々と頭を下げた。
そんな彼と別れて、次に俺が目指す先は1年のフロア。
正直、面倒くささしか感じ無いが今回は自分が撒いてしまった種である事は否めないし。
やはり、こう言う事は当人が行動に移さなければいけない気がして。
気乗りしないながらも俺は歩みを進めていった。
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