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暫し、野次馬達に囲まれたまま廊下で佐藤真昼を待つ。
居心地の悪い空間は酷く苦手だ。
出来るだけ自分の部屋にいたいし、出来る事なら引きこもりになりたい。
現実はそうもいかないけれど…。
それなら、大人しく過ごせばいいじゃないかと自分でもそう思うけれど。
自分でも良く分からない靄掛かった感情があって。
それを発散したくて、一夜限りの関係を結ぶ。
それの繰り返し。
多分、それは自分自身の弱さなのだろうけれど。
今の俺には他に発散方法が見つからない。
だからこそ、こうして今回の様な面倒な事態に陥っているわけだけれど……。
「由良先輩、どうしたんですかあ?もしかして僕に会いたくなっちゃったとか?」
やっと現れた佐藤真昼は、悪びれも無くそう言うなり媚びた様な色を含んだ目で俺を見つめた。
……ああ、そういえばこんな顔してたかも。
なんて。
冷えた思考回路の中、そう思ってしまった俺は、多分物凄く酷い奴なのかも知れない。
「……あのさ、あの噂何?……俺、君と付き合うだなんて一言も言ってないと思うんだけど」
出来るだけ迅速に事を終わらせたくて、早々に本題を切り込む。
もう一度よく考えてみても、俺は付き合うだとかそういう類の言葉を言った覚えは無いし言う筈が無い。
頭一つ分違う彼に視線を寄せると、彼は一瞬無表情になった後、人が変わったようにわんわんと泣き出した。
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