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「な……何で?」
動揺に動揺を重ねた末に、震える唇からやっと出た疑問。
何で?どうして?
そればかりが頭に浮かぶ。
篝に好かれるような事をした記憶なんてないし、ましてや本当に殆ど話した事も無いのだ。
接点と云えば、1ヶ月に一度のペースである生徒会と風紀委員会の合同会議くらいなもので…。
「去年高等部に上がってすぐ風紀委員になって、生徒会との合同会議の時に一目惚れしたんだ。凄く綺麗な子がいるなって。それから、合同会議の時の凛とした佇まいだとか落ち着いてる声だとか色々なところが好きになって。でも、麻見って特定の恋人は作らないって有名だし、半ば諦めてた」
ドクンドクンと心臓が自分の物じゃないかのように跳ねる。
こんな感覚は知らない………恐い…
「麻見は嘘を吐くような奴じゃないって事はずっと見てたから分かってたし。麻見が、信じてくれって縋るような目で見てきて、ああやっぱり諦められないなって思って。自分の気持ちを伝えておきたくて此処に連れてきた。麻見が特定の恋人を作らない事は知ってる上で言うけど、……俺と付き合ってほしい」
篝はそう言って何だか困った様な顔をして微笑んだ。
篝の言葉を聞いて驚くのと同時に、どうしたらいいのか分からなくて思わずたじろぐ。
いつもなら……付き合ってほしいと言われても好きだと言われても直ぐに、ごめんという言葉が出てくるのに。
何故か、ごめんという言葉が口から出てこない。
………一体俺はどうしたのだろうか。
微塵にも想像していなかった事に怯んでいるのだろうか。
俺は恋愛感情なんて分からないし、誰とも付き合う気等無いのだから答えはノーしか無いのに。
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