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宛も無く走って、辿り着いた生徒会室に入ろうとした時、背後から名前を呼ばれて。
その聞きなれた声に思わず振り向いてしまった。
途端に、掴まれた腕。
走ってきたのだろうか、息を切らして額には汗をかいていた。
「篝………どうしたの?」
「麻見が急に居なくなるから吃驚して…それに、何だか泣きそうになってるように見えて心配で追いかけて来た」
心配………
篝が俺を心配して追いかけて来てくれた。
その事実に荒んでいた心の奥が少しだけ、じんわりと染みを薄くしていく。
俺は、一体何がしたいのだろう?
何に怒ったの?
何が悲しかったの?
何が嫌だったの?
頭の中で繰り返される自問自答。
一先ず、ここじゃ人目につくからと二人で生徒会室へと足を踏み入れた。
無言の時が流れる。
……多分、篝は俺が話し出すのを待っててくれている。
その証拠に、ぎゅっと優しく抱き締めてくれて、あやすように背中をポンポンと叩いてくれている。
心地の良いリズムと安心する体温、匂い。
徐々に心が落ち着いてきて、俺はやっと口を開いた。
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