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「細いのに、沢山食べるんだね」
マスターはそう言って驚いた様な表情を浮かべた。
「凄いですよね。俺より全然食べるんですよ」
「へえ!凄いなあ。若さかなあ」
昔から結構食べるし、腹八分目というものがよく分からない。
食べれるだけ食べたい主義なのだ。
マスターは会話をしながら器用に手を動かし始める。
俺は料理なんて出来ないので、凄いなあなんて思いながら料理をするマスターの姿を善貌の眼差しで見ていた。
「そういえば、お連れさんのお名前は?」
「あ……麻見です。麻見由良といいます」
「良い名前だね。由良くんて呼んでもいいかな?」
「はい」
「ありがとう。私はマスターの越前竜義(えちぜんたつよし)です。宜しくね」
マスターはそう言ってニッコリと優しく微笑む。
笑うとできる目元の皺が印象的で、きっと優しくて良い人なんだろうなあとぼんやりと思った。
間もなくして手渡された珈琲を受け取り、一口飲む。
口に含んだ瞬間に広がる芳醇な深い香りと程良い苦味が絶妙で。
今迄飲んだどの珈琲よりも美味しいと感じた。
「どう?」
隣にいる篝が俺に問い掛けてくる。
俺が、美味しいと答えると嬉しそうに、でしょと言った。
その時の篝の表情が幼い子供の様に見えて、何だか可愛らしいなあと思ってしまったのは俺だけの秘密だ。
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