アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
5-2
-
「由貴ちゃん由良ちゃん、お帰りなさい!」
山さんに実家の門の前で降ろしてもらい、お礼を言ってから由貴と共に剣先の付いたブラックアイアンの門を潜ると、玄関の前でフリルが沢山付いたお伽噺に出てきそうなワンピースを着た母が笑顔で迎えてくれた。
長期休みには必ず帰省してはいるが、やはり寮生活が長いせいか両親は俺達に会うのが待ち遠しいのだといつも言っている。
今回も例に漏れず、母は俺達をぎゅっと抱き締めて喜びを顕にした。
「パパね、今日お休みを取ろうとしてたんだけど急な仕事が入っちゃって帰りは夜になっちゃいそうなの。でも、夕飯には間にあうように帰るって言ってたわ。早く二人に会いたいって今朝も待ち遠しそうにしてたわよ」
家に入るなり母はそう言ってクスクスと楽しそうに笑った。
父は、上場企業のCEOを担っていて、見た目こそ少々恐い印象を受けるが話すととても優しくてユーモアがある人だ。
そんな父を母はとても好きらしく、結婚して20年近く経つというのに今でも仲睦まじい二人は本当に凄いと思う。
「二人ともお部屋に荷物置いてらっしゃい。それからリビングでお茶にしましょう」
母からの提案に2人で頷き、玄関ホールの正面にある螺旋階段を登り二階へと向かう。
典型的な洋風建築の我が家は完全なる母好みだ。
以前、父に母の趣味の家で後悔は無いのかと何気なく聞いてみたら『愛する人が心地良くいられる為の家だからいいんだよ』とサラリと笑顔で言ってのけた父は本当に凄い人だと思う。
二階に着くと、それぞれの自室へと足を踏み入れた。
少し久々な部屋なのに、いつも帰る度綺麗に掃除されていて母に感謝しなければいけないなと思う。
一先ず荷物をベッドに置いて、ポケットから携帯を取り出すと丁度数分前に篝から連絡が来ていた。
『今、実家に着いたよ。相変わらず姉が煩くて既にやんなってる(笑)もう由良に会いたい』と書かれたメール。
……俺だって、怜に会いたい……
そんな事を心の中で思いながらニヤケそうになるのを何とか我慢してメールを返信し、自室を後にした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
73 / 100