アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
5-6
-
母は俺から電話を強奪すると、何やら呑気に自己紹介なんて始めたりして。
思わず頭を抱える。
……篝は、どうして代わってほしいと言ったのだろうか。
何か母に言いたい事でもあったのだろうか。
ぐるぐると思考回路を回転させるが、検討も付かない。
「あら!そうだったのね……。全然構わないのよ。由良ちゃんがこんなに良い表情してるの初めて見たわ。貴方のお陰だったのね。これからも由良ちゃんをよろしくお願いしますね。……あ、良かったら今度遊びにいらっしゃい。いつでも歓迎するわ。…うん、はいまたね、怜一くん」
母はそんな事を話して、嬉しそうな、満足そうな顔をした後で通話を切った。
……せめて、俺に渡してから切ろうよ…
と心の中で呟いてみるが、今は篝と母が何の話をしたのかがとても気になりいても立ってもいられずそわそわとしてしまう。
母は俺に視線を寄せてニッコリと微笑んでみせた。
「由良ちゃん、良かったわね」
「……何が?」
「怜一くん。彼……由良ちゃんの恋人なんでしょう?彼ね、私達に黙って付き合うのは嫌だからって電話で話してくれたの。由良ちゃんの事が大好きだって。一生守っていく覚悟ですって……何だか絵本の中の王子様みたいね」
母は相変わらず微笑んだまま、感慨に耽ったように薄く涙を浮かべていた。
篝は俺達の関係を話してくれたのかと心の中で頷く。
母も多分父も、同性愛者だとかそういった類に偏見は無いだろうとは思っていたものの、いざ自分の口からその事について話すのは中々難しくて。
その内、きっかけがあれば…だなんて、そんな風に思っていたけれど。
きっと、篝はそんな俺の心情も察して母に話してくれたのだろうと。
篝の優しさと男らしさに胸が熱くなった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
77 / 100