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「わあ!怜一くん、そっくりね!やっぱり美人さんだわあ」
母は興味津々に篝の携帯を覗きこんだかと思うと、キラキラと目を輝かせてそう言った。
母に続き父や由貴も感嘆の声をもらしている。
自分も気になり、遠慮がちに携帯の画面に視線を落とすと、篝ととてもよく似た女性が写っていた。
確かにとても顔立ちが似ている。
形の良い唇もスッと通った鼻筋も。
黒曜石の様な瞳も、漆の様な髪も同じで。
篝から男らしさをとって、女性らしさを兼ね備えた様な感じだ。
それと篝よりも少しだけ吊り目がちな、気品高い猫の様な瞳が印象的なその人は、胸元の開いた真っ赤なワンピースを日本人離れしたプロポーションで着こなしていた。
多分、写真から見るからにして身長は170前後はあるだろうし、篝と同様にどこかの有名モデルといっても過言では無い程。
篝に似ているからと言って、心が惹かれるような事は無いが、彼の事がまた1つ知れて嬉しく思う。
「ほんと篝に似てるなー!俺と由良はそこそこしか似てないからなあ」
由貴は、まじまじと写真を見ながらそう言った。
確かに由貴の言う通り、俺達は双子だけれど篝姉弟程は似ていない。
くっきりとした2重瞼や、生まれ持った肌の白さは似ているが顔のパーツ1つ1つはそこまで似てはいない。
初対面の人に、兄弟かと問われる事はザラにあるが双子かと問われる事は幾分少ない。
多分、由貴よりも俺の方が中性的な顔だろうということは自負しているし。
何より、数センチではあるが由貴の方が上背もあるし、男にしては華奢な俺よりは体格も良い。
「由貴はイケメンで由良は中性的だからね」
「だろー?俺ってイケメンだから困っちゃうんだよねえ」
「………由貴、うざ」
「ちょ、由良さん?!毒舌すぎやしません?!」
「……………別に」
「あらあら、二人とも喧嘩しないの!」
篝の優しい言葉に調子付いた由良をチラリと見て悪態を吐いてやった。
そんな俺達のやり取りを見て篝と父は微笑ましげに見ていて、母も笑いながら言葉を寄越す。
平穏な時間。
こんな風に、大切な人達に囲まれて過ごせる時間はきっと大切にしていかなきゃならない。
当たり前だと高を括ってはいけないのだと、そう思う。
当たり前な事等、この世には無いのだから。
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