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篝の言葉を理解するのに一瞬思考回路がフリーズした。
再開した思考回路が彼の言葉を咀嚼すると、何故だが居た堪れない様な気持ちが湧き上がってきて狼狽える。
唆られるって……それって…
つまり、篝は俺に性的な何かを感じているという事だろうか。
「取り敢えず…このままじゃまずい展開になりそうだから、お風呂借りて頭冷やしてくるよ」
篝は困った様な苦虫を噛み潰したかの様な顔でそう告げるなり抱き締められていた腕を解くと、予め教えてあったバスルームへと向かっていった。
そんな篝の背中をぼんやりと見つめたまま。
ああ、やっぱり今日は一線を越えるのかもしれないなあと頭の端で考える。
隣は由貴の部屋だけれど、割と壁は厚めな筈だから多分その点は心配無い。
篝が風呂上がりの俺に興奮を覚えてくれた。
その事実は、とても嬉しくて思わず舞い上がってしまいたくなる。
少なくとも、現時点では篝に性的対象として見られているのだ。
一先ず、良かったと胸を撫で下ろすのも許してほしい。
篝と一線を越えてしまう事に躊躇する冷静な自分と頭なんて冷やさなくてもいいから思うがままにその熱に浮かされた欲望をぶつけて欲しいと思ってしまう冷静さに欠けた本能的な自分がいて、戸惑う。
このまま暴いて欲しい、否……暴いて欲しくない。
全てを曝け出したい、否……怖い。
2つの矛盾した感情が自分の中を蠢いている。
……自分は一体どうしたいのだろう?どうしてほしいのだろう?
篝とこの先の生涯、一緒にいたいと思う気持ちは確かで。
だったら、これは遅かれ早かれ通る道で、避けられやしない。
それなら、もう一層の事、この身の内に潜む錆も淀みも全て曝け出してしまおうかと。
もしも、汚いと拒絶されたら、またどうにか好きになってもらえる様に努力をすればいいじゃないか。
本当に手放したく無いのなら、何事も恐れてばかりではいけないのかもしれない。
嫌われても拒絶されても、それでも一心不乱にしがみついていけるような強かさが欲しい。
そんな事を考えていたら、あっという間に時間が経っていた様で自室の扉がガチャリと音を立てて開かれた。
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